第42章 飲み会(昔話)2
恵土「…なあ、霊感とか
そういうのが見えて、それを話して…
もしも、信じられなかったらどうする?」
その目には、涙が浮かんでいたのか
後ろから見ていた俺の目には、光って見えた。
恵土「信じた上で話したんだ。
それなのにばらされたんだ。
それなのにっ…
全員で、嘘つき呼ばわりされた……
そこから、孤立するのが当たり前になった。
差別されるのもっ、迫害されるのもっ!
気味悪いってさ…(震)
小学4年の時の話だ。
そして…
これから先も、似たような未来まで視えちまった。
嘘だって言われて、同盟組まれるって感じの。
はっはっはっ。
結局、おんなじだ。
視えない奴等にとっちゃ、私は嘘つきでしかねえんだ」
そう言いながら、声が震えてて
それでも、黒いオーラは哀しみを示すかのように広がっていった。
陽介「んー。俺だったら絶交するな」
恵土「した所で変わらねえよ。
変わるわきゃねえんだ。
信じて話した、私が悪かったんだ。
あいつらは、何も悪くねえ。
こっちは味方が一人もいねえ。
同じ霊感がある母親以外、理解者はいないんだ…
それを解っていながら、それでも信じたくて話しちまった。
極力話さない方がいいよって言われてたのに
信じたくて、信じて欲しくて話しちまった…
その上、誰も友達と呼べる存在なんていないさ……
盲目になって、友達ができたって喜んで
『何でも聴いてくれる、信じてくれる』って勝手に思い込んで
調子に乗って話した私がバカだった。
そういうのは、友達に対してすることじゃない。
そんな重荷をかぶせる私が、おかしかったんだ…
信じてくれるって勝手に突っ走った、
勝手に信じて、勝手に話して、勝手に視て…
心の底じゃ、信じちゃくれてない。壁がある。
裏みたいな何かまで視えてくる。聴こえてくる。
パラレルワールドの自分の声が聞こえる。
やり取りまで見える、経験しているものまで感じる。
勝手に、感覚を共有しちまってる;
『辛かったんやな』
その声とは裏腹に、何か別のものが感じる。
全部を見る勇気なんざ、もうねえよ。
小4所か、今でさえも意識すれば視えるんだから」
眉間にしわを寄せながらも、ちゃんと説明してくれた。
それらは、一つ一つ聞いても
辛いものばかりだと感じているのが明らかだった…