第42章 飲み会(昔話)2
そう、風間隊はいつも通りのやり取りを繰り広げていた。
恵土が、その場からも動かず
目を見開いて、固まっていたことに気付かぬまま…
三上「考え過ぎなんですよ。
いつも、人のこととか…」
菊地原「言えてる」
三上「それを、自分に向けてあげることってできませんか?」
菊地原「向けたの見たことないけど」
歌川/三上『菊地原/菊地原君は黙ってて!!;』
菊地原「えー」
秀次「?…恵土」
そんな中、恵土の様子に気付いた秀次が
ふと、肩に手を置く中…
恵土の中で渦巻いていた感情が伝わってきた。
周囲にもまた、同様に…
「あんな目に遭うのが、普通だったのに?
『考えれば解るだろ』
『わざとやってんだよ、きっと』
人一倍考えないと、いけなかったのに?
何度もけなされて拒否されて
存在そのものを否定されても
どれだけ暴言や暴力をふるまわれても、何も言い返しても抵抗してもいけなかったのに?
そうされるのが…
理不尽な目に遭うのが、普通だったのに?
感情も心も全て
自分自身そのものを押し殺すのが、当たり前だったのに?」
その想いと共に、心臓の鼓動が跳ね上がっていく…
嫌な思い出と共に、人に対する恐怖までもが蘇ってくる。
気を回さなければ、もっと人のために行動しなければ…
しても何とも思われず、当たり前のように言われる。
しなかった場合、もっと激しくなっていって…
傷付けられることが増えていって、殺されかける。
小さい時のように、死にかける…
血が出ても、傷が出ても…
それを見て、幸せそうに笑われる。
ましてや、自分を大切にするなんてことをすれば…
もっとひどい目に遭ってきた。
『それでもし考えなければ…
どういう目に遭ってきたか、知らないくせに!!』
怒りよ、出るな。恐怖よ、出るな…
小さい時のように、押さえないとっ…どうなるかっ(震)
諦めたかのように、絶望したかのように生きていた。
人に向けて、手や声を差し伸ばそうとして
人じゃないものに向けるようなさげすんだ眼を向けられ、その手を下ろした。
そう、あの時からずっと…
自分から、話しかけるなんてことは……
ましてや、話しかけられることなんて
もっと稀有な………
そんな中で、生きていく上での目標も目的もなかった。