第42章 飲み会(昔話)2
脳内で繰り広げられるそれは
遠い昔、過去を聴いてもなお
ろくに私のことも知らないで、平然と言われた言葉だった。
玉狛支部でいたことから、近界民が憎くない。
奪われたことも、失ったことも嘘だと言われた。
いじめられたことも、殺されかけたことも…全てが。
その時、何かが切れた音がして
気付けば、そうなっていた。
決して変えられない過去を侮辱した。
嘘と呼んで、事実であるそれを嘘と言われた。
必死に、その時その時を乗り越えてきた。
生きるために、父上と母上の笑顔と平穏を護るために…
苦しかった、辛かった、痛かった…
様々な思いを胸に
語らないまま、必死に踏みしめて生きてきた。
それらの積み重ねも
今に至る上で大切なものだったことは、よくわかっている。
それを侮辱されるということは
全てまでもが、侮辱されたように感じたからこそだった。
『視界から消え失せろ。目障りだ』
堪忍袋の緒が切れた。
「やっぱり嘘なんじゃないのか?」
『そうか。
どうしても、そう思うか…
なら死ね』
冷たい声と共に、トリオン体を生身でぶち壊した。
生身でも、トリオン体と同じぐらい力を出せるようになっていた。
全身の力を一点に凝縮するよう動けていたからこそできていたことだと説明された。
ざっ
その上で近寄ると、尻餅をついた奴に震える声で言われた。
「ひっ。模擬戦以外での戦闘は(震」
『トリガーは使ってない。
てめえの責任は、てめえで取れ(拳を握って振りかぶる)
人の人生を侮辱する奴は、死んだ方がいい』
恐怖からか、震えるそいつを見下ろし
冷たい目を向けたまま、黒いオーラと共に言い
拳を握りしめてから振りかぶり
最後の一言と共に、拳を振り下ろす中
ガシッ
それを止められた。
風間「やめろ。そうすれば本当に死ぬぞ」
「…(ピクピクッ」
左やや後ろから左腕を掴まれ、拳を止められたのを見てから
ふと言い出した男を見やると、白目をむいて気を失っていた。
『ちっ。口先だけのクズが』
それは、噂にもなったが
私の周りの人たちは、気にしないように持って行こうとしてくれた。
有難かった。
きくっちーでさえも
「人は好き勝手に言うもんですよ」と言ってきたから
珍しいといったように感じたんだろう。