第42章 飲み会(昔話)2
緑川「俺も血をあげたかったけどさ~;
「この患者さんはAA型で無理です!」って」
恵土「ありゃ;」
緑川「小南先輩に至っては、本当に凄かったよ。
だって…
「大丈夫よ!私の血も力に変えてくれるから!!(半泣」
「そうであってもダメです!!;」
「じゃあせめて手を握らせなさい!!;」
「手術中は立ち入り禁止です!!;」
せめぎあいが半端なかったし^^;」
恵土「おお。瞼に浮かぶ」
風間「結局の所、押しかける形で輸血については事欠かなかったそうです」
恵土「そっか;
アルブミンだか血小板とか、不足したら危ないもんな;」
風間「出血性ショックを起こしていましたし」
恵土「なるほど」
風間「今までにない事例の上、緊急事態でしたので
治療の邪魔にならないためにも、そうした方がいいという話になりました;
他にも、それで死なせれば
何でしなかったんだと訴訟ごとになるのではなど、云々;」
恵土「ああ。
っていうか、大勢が押し掛ければそうなるかどうかは賭けだっただろうな」
風間「血圧が測れていない場合は
輸血2000mLを30分かけて入れるんですが、その時は測れていたので」
恵土「おお~。
つまり、私一人の中に皆の血が…
といっても、血球や血漿は日ごとに壊されて生まれてが繰り返されて入れ替わってるけど
その当時に、それがなかったら生きられなかったし…」
自らの左手を広げながら見つめる中、思いを馳せていた。
だが
その直後、脳裏によぎったのは…
『私が死んでいれば、こんなことならなかった!!』
『トリオン量が多過ぎたせいで狙われたんだろ?
…なら、言うまでもねえじゃねえか。
私がいなければ…こんなことにはならなかった!
誰でも、そう言う!!;
誰だって、そう言う!!;
私のせいで、皆が死んだんだ!!!;
私さえいなければっ!!;(涙』
『甘やかされて生きてきたんだろ?』
『どうせ嘘だろ?
だまされるな。こんな奴に…』
暗闇の中、目を覚ますとそこには…
瓦礫の山と、皆の死体の在った場所に
残っていた血が見え、死んだはずの皆の姿までもが確認できた。
無意識の内に、視え聴こえしてしまうそれは
当時、到底制御し切れるようなものではなかったから…
その当時に感じていた恐怖も感情も全て……
残っていたから…