第42章 飲み会(昔話)2
そんな二人に対し
菊地原「受けてきた境遇の意味じゃ、こっちの方が上かもだけど?」
歌川「そこで挟んでくるな;」
菊地原「どっちにしろ、ひどい目に遭ってきたんでしょ?
両方解るのは僕だけ。
といっても近界民に血縁者を殺されてないから、そっちのは解らないけど(溜息」
歌川「…そうだな(ちらっ」
菊地原がふいにいつものように言ってきて
いつものように、それに思わずツッコむ歌川だったが…
そう言いながら、横目で少し秀次を見ていた。
姉を殺された、もう一人の理解者を……
秀次(…解ってないわけじゃなかった。
それでも、どうあっても許せなかった。
『許せないのなら、それでもいい。
遊真は、姉さんを殺した近界民とは違う。
憎む気持ちもわかるし、恨む気持ちもよく解る。
私も、小さい時はそうだった。
近界を見て、近界民を見た瞬間…
押さえ込んでいたはずのものが膨れ上がって、殺そうとしちまった^^;
それでも…
それがあったおかげで、近界民が襲ってくる理由も解る。
だって…同じだろ?
近界民が近界民を憎んでいるのなら、逆だってあり得る』
「!!」
『違う近界を襲う方が
よっぽど気が楽ってのもあるのかもだけどな(溜息)
される側にとっちゃ、この上なく嫌だってのに…
余裕がないから、奪う以外考えちゃいないんだ。
その気持ちも解るし
トリオン不足で国も世界も滅ぶってんなら、手段は選んでられないって気持ちも解る。
だから…
結局、この憎しみや恨みはどこへ向ければいいかって話になる。
それごと護り抜く力に変えて、前に突き進む。
そうじゃなきゃ報われないって解ったから^^』
そう笑えるようになるまで何年かかったんだろう…
その問いは、流石に言葉にできずに飲み込んでいた。
おそらく、何年も悩み続けていたんだろう。
ひどい目に遭い続けながらも、何年も何年も…
月日を重ねながら、その度に想いを重ねながら……
話しかけられなくなるほどに、追い詰めながら…
だから……
気付けば、いつの間には否定できなくなっていた。
あいつの道を、在り方を…
おそらく、城戸司令も同じことを解っている。
それでも、許せない気持ちは変わらない。
だからこそなんだろう…
あいつが城戸司令の命令も聴くのは」