第42章 飲み会(昔話)2
その痛みがあったからこそ、護れた人がいたって
殺された皆に、胸を張って言いたいから』
そう、真剣な眼差しで言う恵土先輩を否定できなかった。
無駄じゃなかったって、証明したい…
その想いも、解るからこそ……
『その生きていたはずの人生を
私が肩代わりして、背負って生きるのも同じなんだ。
味わうはずだった苦しみも絶望も…
それを、ないがしろにすることなんて出来ない。
ましてや…
誰かを殺すなんてことは、絶対にあってはならない。
自分を大事にするよりも、人を大事にしないと…
釣り合わない』
その分背負って、前に突き進もうとしていた。
大事にされなくとも、大事にし続ける信念もそこから来ているのだと知った。
その背に背負ってきた命も、想いも、感情も…
一つとして無駄にしまいと
今も倒れそうになりながらも、必死に踏みしめて前に進み続けている。
(恵土の背が見え
振り返って笑いかける姿がまぶたに浮かぶ)
だから恵土先輩
兄が成仏するまでの10日間、視えるようにしてくれて…
話しができるようにしてくれて、傍に居ることを感じさせてくれてっ……
本当に、ありがとうございますっ(泣き震え)
それだけじゃなく、今までもずっと…
ずっと、そうしてくれて…
護ってくれて、愛してくれて……
受け入れてくれて………
本当に、ありがとうございます;;」
声までもが震えていく。
その中、恵土の頭に触れながら
頭がふいにぐらつき、倒れるかのようにそれに触れた。
それに触れる感覚が、脳内に伝わる中…
遠のく意識の中で、思っていた。
風間(感情移入や同情所か、共感できるからこそ…
ずっと、寄り添いたい、護りたいと思っていた……
恵土先輩がそうしてくれたことで
心が動かされた人が、何人いるだろう。
少なくとも、ここに居る人たちは…
おそらく、何かしら救われてきた人達ばかりで……
自分も、そうで…
とっくに、救われていた。
恵土先輩が示す道に、ブレずに頑張り続けている背に…
その割に、何度も振り返っては目を向けてくれた。
そうして気にかけて、無事なことを
大丈夫なことを、幸せなのを確認すると…
心底、嬉しそうに笑いかけてくれた。
それを見るのが、いつしか…
俺も、嬉しくなっていた。