第42章 飲み会(昔話)2
幸せになって欲しい。
その願いはきっと、今でも変わってないのだろう…
視えるものは違っても、聴こえるものは違っても、感じるものは違っても…
それでも、解りあえるものはあった。
そして…
今では、家族のように想ってくれている(微笑)
少しでいい。
少しずつでもいい。
幸せが増えて欲しい。
生きていく上で、恵土先輩が言っていたように…
その苦労があったからこそ感じられる幸せもある。
同じでなくて当たり前だと、解った気がした。
言いたいことも、伝えたいことも……
育った環境によって、一番に目につけるものも変わる。
重要視する部分だって変わってくるし、好みも変わる。
誰もが個性があって、各々が違うように…
同じものもあれば、違うものもある。
俺は、どう頑張っても恵土先輩のようにはなれない。
それと同じように
恵土先輩もまた同様に、俺には決してなれなくて…
『たった一つの、大事な命なんだから^^』
そういう言葉の意味を
最近になって、やっと理解できた気がする。
言葉では語りつくせないほど、想いがある。
だからこそ、ぶつかり合って解り合おうとする。
言葉をぶつけて、時には力をぶつけ合って…
敵だからといって殺していいわけではない。
味方だからといって甘やかしていいわけではない。
両方を生かすため、護り抜けるようになるため。
帰ってくる居場所で待つ、大切な人達を悲しませないため…
共に、幸せで笑っていられるような未来にするため……
そういったように、たくさんのことを考えた上で生きている。
一時…
記憶喪失になったように
脳の機能が、一時的に働かずに考えられないようになったこともあった。
2週間も、ずっと…
その間、俺は傍に居て
精神的に参っていたが故か、風邪をこじらせていた恵土先輩を
必死に元気づけようとしていた。
玉狛支部の子供や雷神丸まで来ていて…
恵土先輩を望む存在が、次々に増えているのだということに気付いた。
6年ほど前では…
ボーダーには、恵土先輩の存在を望まない人たちばかりだった。
ろくに知らないまま誤解して、好き勝手に言われて…
それをうのみにする人たちばかりだったからか、ずっと……
その光景に…俺は
妙な『深い感慨』を、その身に感じた。