第8章 神話
「なんだ…くだらねぇ。
ただの正義感じゃねぇかよ…」
恵土「お前にとってはそうでも
私にとっては、そうじゃない!
もう二度と、誰かが
誰かのために傷付き、殺されていく姿を見たくない…
もう…解ったんだ…」刀を下ろす
「?(刀を下ろした?」
恵土「…痛いんだ、心が…
自分のことで、傷付くと…
あまつさえ、殺されて消えていくと…
雨の降る中、一人っきりのまま
必死に戦い抜いてきた、あの時…
涙なんて、枯れ果てたんじゃないかってぐらい
泣きじゃくったあの夜…
怒りも何もかも…
全てを、トリオン兵へ向けて暴れまくっていた…
なのに…何でかな…
全然、心が晴れない…
それは…
思い返すだけで、永遠に続くからだ…
どこまでも続いていって
今もなお苦しめ、憎しみをかきたてられる…
暴れても暴れても、まだまだ足りない…
全てを壊したところで、代わりになるわけでもない…
きっと、一生続くんだって…
あの時に、解っちまった…
それでも…
それは、殺されて奪われた人たち共通のものだって
苦しいのは、一人だけじゃない。
様々な人が、色んな思いを背負って生きているって…」
そう目を伏せながら、切なげに笑う
(なんて顔してやがるよ、こいつ…
ガキが出来る顔じゃねぇ!(汗))
恵土「もう、生きるのに疲れた…」
どさっ
壁の破片に腰かけ、背の壁にもたれる
恵土「…それでも、生きろってうるさいんだ…
私の中で、想い出になったはずのあいつらが
しつこく何度も言ってきやがる…
生きろって…(ぽとっ)
こんな私でも、大事なんだって…(涙」
(常人が耐えられるそれじゃねぇ…)
恵土「…だからさ…頑張って生きてきた…
それだけなんだよ、生きてきた理由なんて…
それでもさ…
これだけは、はっきりと解る…
お前たちが、皆を殺した奴等で
どれだけ憎くても殺したくっても…
その殺された皆のせいで
誰かが傷付いたり、殺されたり…
そういうのが
どっちにとっても、本当に辛いんだって…
そんなの、悲しいだけなんだって!!;」
そう叫んだ直後…
温かな空間が生まれ、場内が包まれる…