第8章 神話
「ちっ」
「あのなぁ。
それで解決するような問題じゃねぇんだよ。
ガキはすっこんでろ」
「そうそう。上司とか色々な」
家族の写真が見え
自身もまた、家族の面影が脳裏に浮かび…
恵土「…殺されるって感覚、知ってるか?
…それ、誰にだって同じだろうが…
それなのに、あんたらはできるのかよ…
そうまでして奪って、何の意味があるんだよ…
傷付けられて、奪われて…
それで仲良くしたって、
できるのは表面上だけだろ…
本当に、心から解り合うために必要なのは…
そんなものじゃないはずだろうが。
第一、そんなのどっちも幸せになんてなれないままだ!
どちらかが不幸を感じれば感じるだけ
抵抗が増えて、苦しみが次々に増していくだけだろ!!
無駄死にになる一方じゃんか…(俯く」
「ふんっ…
ガキが一丁前の口をききやがって。
てめぇのようなガキに何が解る?」
恵土「解るさ…
少なくとも、全てを奪われたものの気持ちは(ギロッ」
『ビクッ!!)…;(青ざめ震え』
「なんだ、こいつ…?(震え)
明らかに、ガキが出す気配じゃねぇ…(青ざめ&後ずさり」
「…なるほど。
ただじゃ生きてこなかったみたいだな…
じゃあ、その怒りはどこへ向ければいい?」
恵土「…殺した本人だとでも思っていたか?
悪いけれど、違う…
私が一番憎み、恨んでいるのは
自分自身だ…
自分のトリオン量と質が要因になって
狙われるようになって…
殺したのが自分自身だった
それさえなければ、奪われる要因にはならなかった…
それが頭に常によぎって…
自分を責めない時なんて、なかった…
それでもさ…思うんだ…
もし、逆だったらって…
逆だったら
そんな風に、自身を責めて欲しくなんかはない」
そして立ち上がりながら、言葉を紡ぎ続ける
恵土「もし死んだとしても、殺されたとしても
傷付けられて怒ることになったとしても…
一生、拭い去れない痛みと傷を負ったとしても…
絶対に、同じような人にならないで欲しい。
幸せになって欲しい…
世界中の誰よりもって!(真剣」
両手に剣を構えながら、真っ直ぐに見据えて叫ぶ
その叫びは、どこまで届くのか…
それは、まだ解らない