第40章 飲み会(大事なもの)
(秀次は左手で叩かれ、壁際に突き飛ばされ
その叩かれた右頬をおさえながら、恵土を見つめていた。
それに対し、恵土もまた座ったままで見つめ返していた)
恵土「私は、お前に解って欲しいから言ったんじゃない。
知って欲しいと思ったから、伝えるために言ったんだ」
その言葉の真意は、一体…?
秀次「…?
どういう、意味で」
恵土「…確かに、私を理解して欲しいって意味合いもあった。
でも、それは…
全部が全部、解った上で受け入れてくれるか
受け止めてくれるか…
それを、見たかったんだ」
返ってくる言葉の意味が、あまりわからなかった。
秀次「…」
呆気にとられていると、恵土がまた言葉を紡ぎ出した。
恵土「小さい時、話した途端に拒否された。
いじめられていたことを話せば、当たり前だと言われた。
お前が悪いとさえ言われて、距離を取られるだけだった。
嘘だと言われたり思われたり…
好き勝手に言われるばかりで、受け入れる人なんて一人としていなかった。
でも、お前は否定しなかった。
逆に受け入れて、優しく包み入れてくれた。
血縁者以外じゃ初めてだった。
それは、前に言ったよな?
だから私は…
お前のことを理解したいし、受け入れたいって思ったんだ。
どこの誰よりも、何よりも…
あの時、受け入れて……
悪夢にとらわれかけていた。
自責から逃れられずにいた私に、大好きだって言ってくれた。
お前は、寝ぼけながら呟いたことだから覚えてないかもしれない。
(747、748ページ参照)
でも、私にとっては…
本当に救われた、大切な言葉だったんだ……」
そう言いながら、恵土は俺を優しく抱き締めた。
恵土「だから秀次…
そんな風に想わなくていい。
大好きなんだ。
大好きで、仕方がない。
どんなことがあっても、離れたくない以上に愛してる。
それでいい…
それだけでいい……
何も要らないぐらい、代えられないものなんだ…
それは、失ったら生きていけないぐらい
温かくて尊いものだから………(ぎゅう」
抱き締められる力が強まる中…
解った気がした、なんとなくだけど言いたいことが……
秀次「そうか…
聴いて、解った上でも愛してくれた。
それが、たまらなく嬉しくて…救われたのか」