第39章 終わらない悪夢、忍び寄る闇
そして、そいつが管を何本か生やしていて
そいつの周囲には…
管に繋がれて、死んだ人たちの死骸が見えていた。
近界民にトリオン器官を取られたのだと解ったのは、後の話。
そして管が迫る中
姉さんが後ろに逃げようとしている場面が目に映り
でかい近界民から管が出てきて、それを胸に突き立てようとしていて
秀次「さあっ!)姉さん!!」
俺は一瞬で、全身の血の気が引いたのを感じた。
と同時に、すぐさま駆けつけようと
必死になって叫びながら走り、姉さんに駆け寄る中
その管がつきたてられたのは…
姉「来ちゃダメ!!!」
そう切羽詰まった顔を俺へ向けて、叫んだ矢先だった。
どず!!
秀次「!!」
姉「…ごふっ」
口から血を吐き、抜かれたと同時に仰向けに倒れ伏した。
秀次「姉さん!!!!!」
俺は全速力で走り寄っていた。
見えていながら、助けられなかった不甲斐なさも関係なしに
必死に…
ただ、護りたくて…
それに近界民が、今度は俺に襲い掛かって来ていた。
それを切り捨てたのは…
ずばぁん!!
迅だった。
といっても、それは迅から後で聞いた話で
俺はそれに気付きもせず、姉さんだけを視野に入れていた。
それだけが、その当時の俺の脳を全て占めていたから…
視野が狭まる中
それに目もくれずに、俺は姉の横に立った。
尋常じゃない血の量、背から胸に心臓の近くを貫通した傷…
そんな傷を負った姉さんを見て、俺は…
すぐ、仰向け横たわっている姉さんの(姉さんから見て)左横にひざまずきながら
秀次「っ!
姉さん!!姉さん!!!」
息を飲んで目を見開き、姉さんの左肩に手をかけて
必死に呼びかける中
姉「秀、次…」
秀次「姉さん!今すぐ救急車をっ」
携帯を取り出して119番にかけるも、やはり電波も通じず
それを知らせる音声ばかりが耳に入っていた。
秀次「くそっ!!」
それに思わず歯ぎしりしながら叫ぶ中
姉「大、丈夫…」
秀次「!」
そう、辛そうに言いながら
俺の右頬に、右手が添えられた。
姉「大丈夫よ、秀次(微笑」
秀次「姉さん」
辛そうな顔をする秀次に対し、優しく指先で触れだした。
昔から、そうしていた時のように…
安心させようとするかのように……