第39章 終わらない悪夢、忍び寄る闇
菊地原「長すぎ」
恵土「え?」
菊地原「この際だから遠慮なく言うけど
長過ぎ、抱え込み過ぎ、バカ過ぎ。
揃っちゃいけない三拍子がそろってる」
恵土「い!?;」
菊地原「同情とかなら御免なんだけど?」
恵土「そういうんじゃないってば!;
それが痛いって解ってるから…
だから……
一人じゃないって、知って欲しかったんだ。
それでうつむいてる時の光景も…
左手を見つめる中、『化け物!!』
そう言われ、否定され
手を差し伸ばされても、その手を叩かれて
拒絶され続けてきた。
だからこそ…なんだっ(拳を握りしめる)
ただの押し付けだって解ってる!
それでも、私は!!」
そう拳を握りしめながら
とても苦しそうに
その思い出される過去に心を痛めながら、叫んでいた。
この想いが、伝わって欲しいがために…
その直後、それを止めるように
一つの声が、また響いた。
菊地原「違う。
僕が言いたいのは!
そうやって一人で考え込んで、感じた気持ちを押さえ込むなってこと!!
そういうの…悪いくせだよ。
いつだって、自分の気持ちを抑えて!
僕には、感情のままに行動に出して、やいのやいのやるくせに…
(眉間にしわを寄せながらうつむく)
一人で抱え込むなってのは!
その時に抱いた感情まで、ぶつけることでしょ!?
そういうのはまだ抱え込んでるとしか言えないんだよ!!
嫌だったら怒れよ!
苦しかったらすがれよ!!
哀しければ泣けよ!!!
人にはいつも…
そうさせてきたじゃんかっ!!!!!」
苦しげな顔をしながら、そう叫んだ。
悲痛な声、心からの叫びを受け…
その時、恵土の中で
ふと、つきものが落ちた感覚がした。
恵土「あ…そうだ。
いっつも、自分の中で自己解決してばっかだった。
その感情を自分で押さえ込んで、ぶつけないままでいた。
感情のままに当たり散らすなんて、辛いだけだって解ってたから…
だから私は、必死になって押さえ込んでいた。
誰にも、そんな思いは味あわせたくないって必死になって…」
そう呟くように言いながら、その目には涙が浮かんでいた。
それが喜びによるものかはわからない。
嬉し涙かもわからない。
それでも、きっと…
負のものなんかじゃないってことだけは解るんだ…