第38章 祝勝会(悪夢と現実)
その中、一つ言われたことがあった。
恵土「…遊真はさ
近界民と有吾の間にできた子供なんだ」
『え?』
恵土「近界民だってことには違いないかもしれない。
でも、もともとはこっちの人間だったんだ。
そして…
世界でたった一人の、遊真って人間には違いないんだ。
だから、近界民だって偏見でとらえないでやってくれ。
城戸さんにも言ったけれど、そういうのはやだって思うから。
個人的に、そういう風な思いをさせたくないからさ。
ゆっくりでもいいから、少しずつでいいから…」
秀次「…(なでなで」
そう辛そうな表情を浮かべる恵土に対し
いきなり、右手で恵土の頭を撫でだした。
恵土「ん(目を瞑りながら)
?」
それにきょとんとした表情を向ける。
秀次「…善処する」
恵土「…ありがとう、秀次(微笑)
やっぱり秀次は優しいよ^^」
それに顔を逸らしながら、小さな声で呟かれた。
それに嬉しそうに表情を笑みにほころばせながら言われた。
秀次(違う。
…その優しさは、お前からもらったものだ。
お前が笑っていて欲しいから…
思わず、そうしただけなんだ)
そう思いながら、うつむいていた。
それからつくまで、考えていた。
生まれや育ちだけで、近界民だと決めつけていいのか。
そして決めつけられれば、どう感じるのか。
恵土が昔、秀次に言っていた
他の近界からすれば近界民と差別され、殺されかける意味も
それがどう感じるかも…
木虎「外面と内面って、やっぱり違うんですね」
陽介「ん?何が?」
木虎「いえ…
それほどまで、苦しんできたことがあったのかと」
風間から、その過去のことで
どれだけ苦ませられ、苦しみ続けてきたことについて聞いていた。
陽介「まあ確かにショックっちゃショックだな。
普段、そういうのをろくに話してくれねえし
ちゃんと向き合ってくれてなかったのかとかってさ…
でも…
それ以上のもん、いっぱいもらってるだろ?
楽しい日々から、ろくでもない想い出まで全部よ。
それでいいんじゃねえの?^^(にっ」
木虎「…スケベなのに随分いいこと言うんですね」
陽介「え!?;
俺、そんな目で見られてたの!?;(汗」
木虎「はい」
陽介「即答かよ!;」
木虎「でも…ありがとうございます」