第38章 祝勝会(悪夢と現実)
恵土「でも…
それでないがしろにされて死なれちゃ
本当に、とっても痛いんだって身をもって解った;
だからさ…
自分を大切にしようっていう
昔に殺した感情を、取り戻していこうって思う。
それまでの殺して当然っていう
昔についた常識の板挟みから、殺し続けるしかなかった。
そうすることでしか、精神の安定を手に入れることができなかった。
だから…
皆、ごめん;;
本当にごめんっ;
嫌な思いさせてるって気付けなくてっ;
逆に傷付けて苦しませて!;」
そう言いながら両目から涙をぼろぼろ零した直後
その恵土の頭に右手をかけるや否や、秀次はそれを抱き締めた。
恵土「!…秀、次?ぐす」
秀次「…今、生きている。それでいい(ぎゅう)
姉さんが死んだ時、お前は言ったな?
『自分が関わったせいだ。
自分が関わったせいで
皆、嫌な思いをするようになってる』って泣きながら…
俺は、そうは思わない。
お前がいたから、迷惑が掛かってたこともあった。
でも、お前がいたから楽しかった時がある。
立ち直れた時もある。幸せを感じた時もある。
迷惑だけじゃないんだ…
お前と居てもらったのは、嫌な思いだけなんかじゃなかった。
迷惑だか何だか、いちいち気にするな。
俺は…『それごと、ひっくるめて
お前と一緒に居たい』って思っている(涙」
恵土「!!」
秀次「お前が責任を感じようが、それは個人個人の問題だろ。
全部自分のせいだなんて背負うな。
それを教えてきたのはお前だ。
駆けつけた時、殺されていた姉を護れなかった俺に
お前ひとりの責任じゃない。お前が生きててくれてよかったって…
そう本気で思うんなら!!
思ってたって言うのなら!
お前もそういう風に自分を責め続けるな!!!
いつもみたいにいろ!!
いれなくなったら俺が叩き直してでも連れ戻す!!
だから…
そんな風に押しつぶされるな。
過去にも、殺さないとっていう思いにも負けるな。
そんなお前と一緒に居たいって思う人が、ここにいるだろうが;;」
その涙が頬にかかる中、恵土もまた涙が零れ落ちる。
恵土「…うん;」
小南「そうよ;
昔とは違って、今は一人じゃないんだから;」
肩に、頭に、次々に触れる温もりに
涙が止まらなかった。今という幸せを感じたから…