第37章 祝勝会(変わらぬ過去、変わらぬ想い)
迅「!」
風間「未来は、一人だけで変えられるものでもない。
何かが重なり合って、繋がり合って変わるんだろう?
水面のように、些細なことでも協力し合えば揺れ動く。
一人だけでしようとした所で、大部分は変えられない。
俺は…
もっと大きな損失となる未来は、そちらではないと思った。
だが、それだけではない何かまでは解らないし
お前以外には視えないから、解りようもない。
それによって、何がどう転んでいい未来になるのか…
たとえ結果はどうであれ、お前はその先を見据えた上で決めた。
そこまで考えて悩んで決めたのなら
きっと恵土は、そのことに感謝して『ありがとう』というだろう。
そういう人だ、あの人は(目を瞑って微笑む」
迅「!」
ふっと微笑みながら、そう述べ続ける風間さんの言葉に
俺は目を見開いた。
その通りの人だったし、言われた通りだったから。
風間「迅」
迅「?」
風間「一つ聞く。
あいつは…
恵土は、そんなことで離れていくような奴か?」
その時、目に視えたものが一気に広がった。
たくさん視える、どの未来を取っても…
迅「微笑)…離れていかない。
どこまでいっても、絶対に離さないし離れない」
微笑みながら、俺は呟いていた。
ベンチで横になって寝て、悪夢を見たはずだった。
うなされて、飛び起きたはずだった…
気付けば、心が軽くなっていた。
そして後日、入院している時に謝ったけれど
恵土は逆にありがとうって言ってくれた。
「そこまで必死になって、考えて行動してくれたんだろ?
それだけで、私は十二分に嬉しいよ(微笑)
だから迅、本当にありがとう^^」
その予想は、当たっていて…
その当時の俺の目にも、はっきりと視えていた……
恵土が居なかったら、きっと…
今の俺はなかった。
視たくないものと向き合うことも…
視れる強さも……
視たくないものを視れる強さを
サングラスを通じて託されて、届けてもらった。
一つ、二つ…
一緒に哀しみも苦しみも、一歩一歩乗り越えていった。
この人となら
恵土となら、どこまでも乗り越えていけるって思ったんだ。
そしてそれは、間違ってはいなかった…
今、本当に…
今までの何よりも、幸せだって思うから(微笑)