第37章 祝勝会(変わらぬ過去、変わらぬ想い)
恵土「まあ、色々あったってことで…
記憶を映像化されたものの中にだって
この12年前の出来事は入らないようにされてるわけだし。
ねえ?秀次^^;」
秀次「…あの大事故とか言ってたのは嘘か」
恵土「だからごめんって;」
秀次「これ以上隠し事はないだろうな?」
恵土「…うん。ないと思う」
秀次「それならいい。
お前が生きているだけで、十分だ」
そう言いながら、恵土を抱き寄せた。
恵土「…//ありがとう(微笑」
そう頬を赤く染めながら
嬉しそうに微笑んで、秀次の肩に頭を乗せていた。
秀次「//礼を言うのはこっちの方だ(ぼそ」
耳まで真っ赤になって目をそらしながら呟かれた
秀次の声が届いたかどうかはまた、別の話…
どちらも幸せそうに
目を瞑りながら、互いへ寄り添い合っていた……
東「…(微笑」
そんなやり取りを小耳にはさみながら
東もそれに嬉しそうに微笑んで、静かに通話を切った。
そんなやり取りに、迅はあることを思い浮かべていた…
母さんを失った時の夢を見た。
父さんを失った時と同じように、視えていた。
それでも、結局は変えられなかった。
ただただ必死だった。
視えている未来を変えたくて、助けたくて…
それでも、言えば変な人のように言われた。
気味が悪いって怖がられた。
どれだけ助けたくて必死に訴えても
「また言ってるぜ」
「病気なんじゃねえのか?」
違う!そんなんじゃなくて
「妄想だろ?」
「でもその割には当たるよなー」
…いつだって、バカにされて終わりだった。
いつも、変えられないままだった。
視えているのに、伝わって欲しいのに…
それなのに、伝わらない。
信じてくれないし、解ってさえもくれない。
(離れていくクラスメイトたちに話しかけようと手を伸ばすも
次々に離れていき、その手を下ろすしかなくなっていた)
そんな中でも面白がって聞かれたり、触れ回る人もいた。
少しでも役に立ちたかったはずだった…
それが、あっという間に崩れていったんだ……
父さんが事故で死んだ時も
「大丈夫。父さんを信じろ^^」
信じても、未来は変わらなかった。
母さんを助けたくても…
「大丈夫。私が護るから^^」
…結局…
何も、変わらなかった。