第37章 祝勝会(変わらぬ過去、変わらぬ想い)
言いながら笑っている菊地原に対し
木虎(こんなに楽しそうな菊地原先輩、初めて見た…)
木虎は唖然とし
黒江「一緒にいると楽しいですよね」
菊地原「空回りしてばっかなのが面白いんだけどね、見てて」
黒江「簡単にだまされますし」
菊地原「どんな言葉でも真に受けるし」
黒江「いつだって引っかかりますし」
菊地原「それでも
やめろって言われてやめなくても嫌いにはならないし」
黒江「それごと受け入れてくれる度量がありますし」
菊地原「人にやめろって言われたらやめるくせ
自分にはそうじゃないって所もそうだし…
いつだって、人のためばっか。
それでありながら…
結局は、言われるまで聴かれるまで話さないでいるんだよね。
あぁいう過去があるってことも
どういう過去を、どういう思いで乗り越えてきたのかも…
心配している人がここにいるっていうのに
全く気付いてさえもくれないし(溜息」
そう言いながら菊地原両手を膝の上で組み合わせながら、前のめりになって溜息をつく
菊地原「いつだって…そう。
いつだって、人のことには真っ直ぐ向き合って
助けようとしてばっかなくせに。
自分のことには、ろくに力にならせてくれない。
そんなんだから、理解されないまま誤解されたままになるんだよ」
溜息ながらに呟かれた言葉を、周囲の人たちは聴き入っていた…
無言のまま
菊地原「はぁ~あ。
少しは頼ればいいのに」
黒江「そうですね」
そんな静寂を撃ち払うみたいに伸びをしながら溜息を零し
ベンチに背を預けながら言う菊地原に、黒江は素直に同意した。
木虎(少し、解った気がする…)
菊地原「?何?」
菊地原から見て右隣に座ったまま
菊地原の顔を凝視する木虎に対し、ふと菊地原は尋ねた。
木虎「いえ…
私も、そう思います。
抱え込み過ぎですよね(苦笑」
菊地原「そうなんだよ。いつものことだけど…
何回顔つき併せても大丈夫の一点張りのくせにさ(溜息」
黒江「それだけ辛い思いをさせたくないんでしょうね」
菊地原「だとしても腹立つ」
黒江「それも解ります」
同意しながら呟く菊地原に対し、左隣に座っていた黒江が答える中
木虎(菊地原先輩は…
本当に、恵土先輩のことが大好きで仕方ないのね。
私も人のこと言えないけど)
木虎は一人で、確信した。