第36章 隣には…
恵土「…(じっ」
闇「ひっ…」
涙を流しながら、闇を見つめる姿に
闇「来るなあああ!!!」
恐怖を強め、闇を何度も何度も討ち続ける。
どごごごごごごごごごごごごごごごごごごごごごごごごご
凄まじい爆音の中、何度も攻撃され続けながらも
手も上げずに、前に…前に…進み続けていた。
恵土「…幸せなんて…昔の私にはなかった。
夢も…希望も……
差別されて、迫害され続けて…
何度も何度も…
一人っきりで孤立していた自分は、的にされるばかり…
本当に、されるがままに言われるばっかで…
孤独しか、当時の私にはなかったよ…
そんでもさ…
態度は変えなかった。
どう言われようが
ひどい風に言われて、差別されようがな…
加害者はお前だって、私が存在しているのが悪いって言われたりもした。
見ててイライラするとも言われたし、言うことを聴いて当然顔もされた。
そんでも…
そんでも、それでやな思いをさせるのは違うって思った。
全員が全員、そうしてくるって決めつけてたら
それこそ、変わらねえよ。
いいことなんて、なくてもいい。
ただの独りよがりだってのも解り切ってる。
でも…
そんでも、それで冷たいことやっちゃあ同じだって…
同じ人になっちゃ、同じ思いをさせて何とも思わなくなったら…
人として、本当に化け物になっちまう。
人を苦しませて、悲しい思いをさせて
何とも思わなくなったら、良心がなくなったら…
そしたら、ダメだよ…
誰もが、傷付け合って苦しい思いを与えあい続ける存在になっちまう。
そうすれば、争いしか生まれない。
そうすれば、闇の感情しか生まれない。
だから…決めたんだ……
殺されても奪われても、大事にしようって…
復讐せず、相手の幸せを願おうって…
でも、怒りとか感じた感情は変わらない。
だから殺すことにしたんだ。
だから逆に悪夢を見た時、それが尚更に膨らみ続ける。
そんで自分を殺して、誰にも味あわせないつもりだった。
重荷なんて、背負わせたくもないって…ただただ必死だったんだ……
でも、結局は背負わせちまった。
拒絶されるのも覚悟の上だった。否定されるのも覚悟の上だった…
離れていかれるのも、また…同様にさ…」
言いながら、やっと闇の前にたたずんだ。