第36章 隣には…
城戸『紅蓮は、ソフィアは…
お前の両親は、お前に何を教えた?』
恵土「!」
城戸『何をもって、何を望んだ?
それだけは死んでも忘れるな。
どれだけこの世界が残酷で
どれほどの闇を味わったとしてもだ!
あの闇は、我々も一緒に味わったことを忘れるな!!
共に乗り越えたあの夜の出来事を決して忘れるな!!!
我々は…あの時から変わったはずだろう!!!!』
恵土「…
『解ってますよ、城戸さん。
ありがとうございます(お辞儀』」
その中、怒りによる闇が消え去り…
逆に怒りも闇も全てが、光へと浄化されていった。
闇「!!」
恵土「確かに…私一人はちっぽけだ。
いくら貫こうが、いくら続けていこうが
ずっとずっと…周囲の方は違っていた。
だから異常だって、言われ続けてきた。
悪口聞こえるように言われてるのに態度を変えずにいた。
でも…心の奥底では殺意と怒りが溢れ続けていた。
それに必死に蓋をし続けていたってだけなんだ。
それで態度を変えてたら、あいつらと同類になっちまうって思ったから…
それと同じようにはなりたくなんてないって思ったから…
特に、ぶつかり合ったこともないのに解ったことを言う奴はよ…
相当腹立ったよ。今のお前みたいなやつには!!(睨)
でも…それで飲み込まれる程度のもんじゃねえ。
そんな程度で、消えやしないんだ…父上と母上は!(拳握)
その教えは…何よりも尊いものだから
死んだからってないがしろにしちゃいけないものだから…
だから……
決めたんだ。護るって…
どんだけ憎くても、どんだけ苦しくっても…
それごと、奪っていいものなんてないって知った。
奪われる哀しみも苦しみも知っている。
痛みも、恨みも怒りも憎悪も憤りも全部知ってる…
今だって、心の奥底では息衝き続けているさ。
でもさ…
それは、私がしたいっていうだけのわがままだ。
父上と母上は望まない。死んでいった皆も望まない。
綺麗ごとだって、一笑にふされるのは百も承知だ。
でも…私にとっては…
私の抱く、そんな意思よりも何よりも…
父上と母上と皆の方が大事なんだ」