第36章 隣には…
そして再び会った時、変わっていたらという恐怖があった…
でも…
あいつは全く変わっていなかった…
あの時と全く同じように
自分のことよりも、人ばっかりで……
こんな目に遭うのが
他の人でなくてよかったと、涙する姿を見た時…
本当に安心して、嬉しかったんだ…
恵土が恵土で、本当によかったと感じた…
それと同時に、ボーダーという組織が許せないとも感じた。
怒りと殺意が芽生え、どうあっても潰すことを思っていた。
味方もいず、否定され続けて辛いはずのあいつを…
今もなお、卑下し続けては否定し続けているであろう組織を感じて……
それが故に、逆にひどいことをされても
逆に他の人じゃなくて良かったと、笑うことができるという
思い遣る感情の中にも、異常なものを作り出したのだと解ったからこそ……
(667ページ参照)
データーを取るのも、仕方がない事だった。
回復するだろう事は解り切っていた。
だから、何とかやり切った。
アフトクラトルの件は知っていたからこそ早く終わるように尽力した。
(本来なら3時間ではなく、20時間もかけてやるものだった)
そして、2時間もの戦いの渦中で
頭に、ボーダー本部の地下牢から助け出してもらった。
それから、別動隊が向かっていったのだが
それでも結局は取り戻せず、爆発させられる結果となった。
(といっても、その爆発は空間ごと押さえられたおかげで無傷だったが)
そして今…再び取り戻そうとしていた。
組織が設立される、きっかけとなった居場所を…
だが、話してやっとわかった……
今はもう、幸せなのだということを…
だから、戦いをやめた。
そして、幸せを願って去るつもりだったんだ。
だけど…
先程の次元にも及ぶほどの衝突で、限界が来ていたのか
闇と化した、パンデモニウムの王を閉じ込めていた結界が解けた。
閉じ込めるには、狭い空間で戦うしかなかった。
その結果、遠征艇で閉じ込める結果となり動かせなくなった。
それが、こんな結果になるなんて思いもしなかった。
そして俺は今…
恵土に見送られて、イリクリニスに帰る所だった。
だが、俺は残る!
力を、合わせるために!!
あいつを、護り抜くために!!!
(飛び去ろうとする遠征艇から飛び降りた)