第36章 隣には…
だが、俺が恵土からもらったトリガーを起動し
エネルギーを相殺し続けながら、空間ごと封じ込めることに成功した。
そして、今から1年前に
イリクリニスが星の一端を担うことになり、平和になった。
たった8歳8か月だった…
俺と同い年で、同じ時の生まれだと聴いた……
手を差し伸べて…
それから国を立ち上げるきっかけを作り
辛そうに立ち去っていったあの女は…
間違いなく、あいつ(恵土)だった。
(671ページ参照)
あれから、15年もの月日が流れていた…
それから俺は、すぐ遠征の件について調べた。
玄界のものを…
すると、ボーダーというものが恵土を殺そうとしていたのが出てきた。
そして、その迫害の中で笑って護っている姿もまた…
俺たちの時と同じだ…
ひどい目に遭わされてもなお、護って…
そして、笑っていたあの時と同じなのだと解った。
そんなに目がつくか、あいつが?
一度無視された?気付かなかった?
それをそんなに目につけて言って
ひどい奴だと、卑下し続けて…
何様のつもりだ?
自分がうっかり気付かないまましてしまったら、指摘されるまで何とも思わないくせに?
人は勝手だ。勝手に口から言葉を出す。
その言葉に責任も持たず、勝手に覆す。その想いでさえも…
(父親と母親に捨てられた場面がよぎる)
だから嫌いになった。
憎んだりもした。殺したいとも思っていた。
だが、あいつが変えてくれた…
身勝手な人達ばかりの集団の中にも
そんな人間の中にも、光はあると教えてくれたように感じた…
実直かつ純粋。
真っ直ぐでありながら、思い過ぎて空回り。
とても解りやすくて、子供みたいな本質を持ったあいつを…
俺は、大好きになっていたんだ…
人のためを考えて、一生懸命になるあいつを……
身勝手に意見を変えず、真っ直ぐに生きようとするあいつを。
あいつがいつ、人を殺したり傷付けたり悪口を言った?
傷付くようなことを言うことも出来ず
常に人のことを考えて一生懸命なあいつを?
人に気を使ってばかりで、自分のことなんて毛ほども大事に思わず
人のことを考えて、壊れて動けなくなるまで常に頑張り続けるあいつを?
そんな場にいると、報告を受けた時…
俺は、居てもたっても居られなくなったんだ……