第36章 隣には…
有吾と遊真たちと一緒に過ごすのは
有吾曰く、当たり前って感じだった。
でも……
秀次と姉さんとは全く違っていた。
最初から当たり前って感じじゃなくって…
でも、頼っていいって。
信じていいって言ってくれた。
傍に居てもいいんだって、居て欲しいんだって…
だから私は…
ここに居ていい、そう許されたということが分かった。
それまで、そんな居場所は
血縁関係者以外じゃ、全くもっていなかったから初めてだった。
と同時に、すっごく嬉しかった。
嬉しくてたまらなくって、そんな人達がいるんだって…
一緒に居ていいんだって……
私にとって、血の繋がらない人ってのは
私の全てを否定して拒絶して当然、そうしない方がおかしいって感じだったから…
それが、私が生きてきた上で解った
最初の『常識』だったから…
それが一瞬で覆って、あっという間に常識が変わっていった…
急激な変化って言うか、天地がひっくり返るぐらい驚いた。
ずっと苦しかった、哀しかった、辛かった…;(ぽとっ」
「!」
その拳に落ちた雫に、驚きながら頭を上げると
恵土「それがあっという間に覆ったのが、嬉しくてたまらなかったんだ;
やっと…
本当に大事なものってのが、隣に在るように感じられるようになったから(微笑」
微笑みながら、涙を流す姿が見えた…
恵土「そして…
もう二度と、誰にも同じ思いを味あわせたくないって思った。
それと同時に、同じようにならせたくはなくなった。
ひどい目に遭ってても何も感じれなくなるなんてことが…
どれだけ異常なのかが、今ではよく解るから。
だから、無茶はしない。
そして、是が非でも生きて帰る。
どれだけの力を使うことになろうとも…
それでも、そのおかげで今の私がいるし皆が居る…
皆が居てくれたから、私は今の私でいられた。
そして…
私がいたおかげで救われたって人もいるんだって、皆が教えてくれた。
その人が、生きることを望んでいる。
そして
無茶をせずに、無理もせずに…
心配してくれている人が隣に居るって、やっと解ったんだ。
一度死んでから後でだったんだけどさ^^;」
その顔は、どこか吹っ切れたように見えた。