第35章 護るべきもの
死を覚悟した瞬間、なぜかスローに感じる。
振り下ろされる音が鮮明に聞こえて、到達するまであと0.3秒ぐらいの時…
菊地原「え」
どごぉん!!
その凄まじい風と
それによる音に思わず顔を上げると、一つの背が見えた。
突如起こった爆風、それに右目を閉じながら見えた光景
目の前に立ちはだかった人は…
敵の攻撃を左手で右から左へ横薙ぎに殴り飛ばし
白い光と共に現れたのは…
僕が、生き返って欲しいと望み
今も待ち焦がれていた人だった…
菊地原「!…恵土、先輩?」
それに思わず、僕は目を見開きながら見入っていた…
恵土「怪我はないかよ、毒舌野郎(にや」
菊地原「…」
(その言葉に、一瞬ぽかんとした表情を浮かべていた。3秒ほど)
死んだはずだった人が
さっきの白い光と共に生き返ったんだと理解した直後…
菊地原「うっわぁ~。最悪の登場」
嫌そうな表情をして顔をしかめながら言ってやった。
昔、恵土先輩が死を望んでたことを思い出したから。
恵土「誰がじゃ!(いらっ」
それに若干イラッと来たのか、即座に返事が返ってきた。
でも、僕は…
菊地原「ホント…期待裏切らないばっか^^
はっはっはっ」
(右目から出そうになる涙を右手でぬぐい
爆風に押されて尻餅をついて
肩を震わせながら笑う中、こんな思いがあった)
いつだって駆けつけようと必死になってくれたそれが
嬉しくて、たまらなかったんだ…
(その目には涙がにじんでいた…)
歌川「やっぱり、さっきの光は」
菊地原「よかった…生き返って(涙」
(菊地原の目から涙が零れ落ちる中
当の本人はそれを気にせず、満面の笑みを浮かべていた。
最も嬉しく感じたからこそ、その事象に…)
恵土「蒼也、悪いけど指揮るぞ」
風間「はい(頷)
お願いします、隊長(微笑」
恵土「!
(ふっ)ああ(微笑」
それに振り返って驚きながらも、微笑みながら頷いていた。
確かな信頼を露わにする風間さんに。
やっと、帰ってきた…
それが嬉しかったのは、誰でも同じだったみたいで
風間さんの目にも、涙が浮かんでいた。
だってもう、作戦開始となって戦闘が始まった午後9時から
5時間経った後の、2月18日AM2:00だったから…