第35章 護るべきもの
今は違うと、教えてくれる人も諭してくれる人もいず
『今すぐにでも、またそうなってしまうのでは』という疑念にさいなまれること。
誰にも重荷を背負わせたくなくて、ひたすらに隠し続けてきたこと。
誰かが自分が関わったことで不快感にさいなまれたり
会話が止まってしまったりすると
とても辛く感じ
『邪魔をしてしまった』、『自分がいたせいで』等と思い悩んでしまったり
自分を責めずにはいられなくなったり
『自分さえいなければ』と
何かある毎に人のせいではなく、自分のせいだと思ったり
責められる気持ちが解るからこそ、必死に抑えようとしたりと…
とても心が繊細かつ神経質で、気にしいなこと。
悪夢を見た時の中でも
たまに闇のような押さえ込んでいた、当時の怒りやらなんやらまでが出てきて
悲鳴をあげて起きた時に人=敵と認識してしまい、距離を置こうとし続け
噛み付かれながらも、涙ながらに『大丈夫』だと小南に言われて抱き締められたことで
やっといつもの通りの意識が戻り、『ごめん』と涙ながらに何度も言い続けていたこと。
それを聞いた時、パニック障害だと解った。
パニック障害とは、突然起こる激しい動悸や発汗、
頻脈、ふるえ、息苦しさ、胸部の不快感、めまいといった体の異常と共に
このままでは死んでしまうというような強い不安感に襲われる病気で
ことさらに、恵土先輩の場合は
今までそんな出来事が積み重なっているため
それらから身を護ろうとする防衛本能によって
そういう行動に陥ってしまったのではないかと推測できた。
人に対する恐怖症もあったらしいが、それは悪夢を見た後のこと。
そして、高い所から落とされたこともあったため
高所恐怖症となってしまったが、それは俺が連れて行って多少なりともマシになったこと。
空閑によって、血に対する恐怖症を克服したこと。
今までの付き合いからよく解った。
『自らを責め過ぎている』と指摘するまで
恵土先輩は言われるまで気付ず
味方も、それを否定する人さえもいなかったから
責めるのが当然で、周囲もそうだったからそうなんだと思うような
言われたこと全てを真に受けてしまうような人で
言葉の裏を読むことが、非常に苦手なことも…