第35章 護るべきもの
負担をかけるぐらいならと
自らに遭わされたひどい目に対しても
それが当然だと思えば、何も感じなくなって辛くなかったこと。
接さないようにすれば…
そうすれば、誰も傷付かずに済むと
皆の幸せも笑顔も護り抜きたくて、そんな道を選んだこと。
最終的に、自らも孤立を選び
話しかけられなければ話せなくなってしまい
話しかけようとすれば、当時の恐怖が蘇ってしまうこと。
笑顔を見せるのも、難しくなってきて
笑いかけられて、楽しそうにしているのを見て
やっと自ら笑うことができること。
思い出し笑いをしていたら気持ち悪いと言われたのがショックだったらしい。
フラッシュバックやPTSDによって、今もずっと苦しみ続けてきたこと。
夢から覚めて悲鳴をあげた後で、過呼吸になっていたことを聴くと
普段から、悪夢を見た際に頻繁にあるらしく
その場合は、失神して再び眠りにつくか
落ち着くまで口を押さえて呼吸を止めようとして
一時的というか、その場しのぎとして症状を治すらしい。
フラッシュバックとは
PTSD(心的外傷後ストレス障害)の症状の一つで
強いトラウマ体験(心的外傷)を受けた場合に
後になって、似た状況に遭遇すれば
その記憶が突然かつ非常に鮮明に思い出されたり
同様に悪夢として、夢に見たりする現象。
無論、今でもなお続いているが
本人によると、昔よりかは遥かにマシになっているとのこと。
過呼吸とは、必要以上の換気活動を行うことで
ストレスが過剰にかかってしまうと起こる症状で
実際には過換気症候群(かかんきしょうこうぐん)といって
精神的な不安によって過呼吸になり
その結果、手足や唇の痺れや動悸、目眩等の症状が引き起こされる心身症の一つ。
過剰に呼吸が続くことで
血液がアルカリ性に傾き、呼吸性アルカローシスとなり
その症状を起こすらしい。
そう言われてみると、その症状は
神経症(ノイローゼ)まで入っているようにも見えた。
神経症とは、生活に支障が出るほどひどいもので
誰でも初めての人と会う時は緊張して、不安を感じるが
あいさつを交わして話もできず
不安や恐怖が強すぎて人と会えなくなったりするなどで
今こそ収まってはいるものの、いつ再発するかはわからないとのことだった。