第35章 護るべきもの
それから後、話を聴き続けて
より恵土先輩の人柄や人格が解った気がした。
人との接し方が解らなくなり、精神が壊れ
いつまでも大したことであっても無くても
それごとに毎日自責にさいなまれ続け
そんなに迷惑をかけるぐらいならと
人と距離を取ることを選んでしまったこと。
小さい時から人付き合いや争い事が苦手なこと。
といっても、触れ合いやじゃれ合い等(など)のスキンシップは好きらしく
苦手なのは、高圧的なオーラと暴力じみたものらしい。
平和主義で、争いごとになったら
仲介やフォローにまわってばかりで
おおらか、寛大な上に内気な性格をしており
言おうとした言葉をなかなか話すタイミングを読み切れず
話そうとする気持ちを抑えることで
相手の言葉の妨げになるまいとし続けており
それ故に、いつまでも言えずにいてしまうということが頻繁に多いこと。
集中すれば、それのみになって聞こえなくなることもあり
周囲に人がいれば、名指しで呼ばれないと解らないこと。
それらが故に、わざと無視していると思われたこと。
20歳の時にアスペルガー症候群だと診断されたこと。
それらに加えて
純粋過ぎる上に誤解されやすく、誰にも護ってもらえず
逆に否定され続け、存在や人格自体を拒否され続けてきたこと。
ずっと、味方も話すことができる相手も出来ないまま
いつまでも孤立し続ける状態が続き、ずっと言えずにいたこと。
こちらが漫画になっている方では、幼稚園から23歳までずっとだったらしい。
24歳になって、やっと理解者ができたらしい。
きちんと明確に言ったのは、俺が初めてらしい。
あんな風に精神が暴走かつ気が触れたようになるのを見せたことがあるのも
あっち(こちらが漫画に、以下略)にとっても
こっち(玄界)にとっても、俺だけだということ。
心の傷が深く、今も濃く残っている中
自らに対する心を殺し続けることで平静を保っていたこと。
『相手の責め続ける行動』と
『自ら、そう感じた心を殺す』ということを
何とも思わなくなるぐらい
ずっと何年にもわたって続けてきたことによって
己に対する心を殺し続けてきたこと。
それらによって、終いには何とも思わなくなり
そういう目に遭って『当然』だと、それが『常識』なんだと感じるようになったこと。