第35章 護るべきもの
『袖で拭いてる』
『鼻水も?きたなっ!』
泣いていても笑われるだけ、否定されるだけ…
『殴り飛ばしてみたい』
『調子に乗ってるんだよ』
『先生にこび売ってるんじゃ?』
『俺たちに話しかけてみれば?』
『できるわけないだろ!』
『誰にでも嫌われる運命にあるんだよ!!』
無責任に続く言葉、やむことのない言葉…
距離を置かれて当然、そういう言葉を言って当然…
歪む感覚、消えていく感情、
痛みも何もかもわからなくなってしまった心…
怒っちゃダメ、悲しんじゃダメ、
消えないとダメ、関わっちゃダメ、笑っちゃダメ…
先生が関わらない限り、それは止まない
やんだとしても、いつまでも陰で続くだけ…
『なんだよ、その眼』
『気に入らないんだよ!』
『おどおどしがやって』
『内気だったら何やってもいいってか?』
『最低の奴だな!』
『生きてる価値ねえんだよ!』
終いには、自分が常に責められるという感覚ばかりが
15年経った今でも続き、自らも責めないといけないと思い続ける有様。
そんな日常が毎日続く中
自身の感情を、強引に抑え込むことを覚えた。
それも、人に対してではなく
自身に対して向けられた心が…
それらを今、悪夢としてみているのだと理解できるはずもなかった…
目の前にある過去を受け止めるだけで一杯だったから…
恵土「うああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」
頭を両手で抱えながら夢の中で叫ぶと同時に
目が覚めているとも気付かず、叫びが続いていた。
風間「!恵土先輩!!??」
ベイルアウト用のベッドで寝ている恵土へ
すぐにソファーで寝ていた風間は飛び起き、駆けつけた。
(太刀川と沢村は一度家に帰ってた)
その時見た光景は
涙を流しながら頭を両手で抑えて叫び続ける恵土だった…
風間「!何があったんですか、恵土先輩!?」
そう揺する中、その口から漏れ出た言葉は
今まで恵土を見てきた者からすれば、信じられなかった言葉だった…
恵土「心が…(震」
風間「え?」
恵土「消えていく(涙&震)
殺さないと。死なないと!
あ…
早く死なないと!!」
いつもみせていた優しい微笑みは消え失せていた