第34章 未来の分岐点
恵土「…始祖神の一族ってのは、神の一族の純血種であり
この世界の機能=理を成り立たせている
『神』という存在を、代々護り抜いてきた一族の末裔。
神は神でも
それは、全ての世界を最初に生み出した『始祖神』…
それごとひっくるめて、最初の神であり
同時に、その存在が玄界(こちら側の世界)を護り続けてきていた。
平行世界の存在さえも…
そこまでは解ってた。
でも、自身が始祖神のコピーだったなんて知らなかったよ」
始祖神「コピーなどではない。
自ら人格を形成するように、魂を新たに作り出した。
私が直々に、自らの手をかけて幸せを願いながら…」
恵土「始祖神の力とトリオンは別物。
その上、トリオンは始祖神の力から回復できるが
トリオンから始祖神の力は回復できない。
どちらにしろ、死ぬって解ってたの?」
始祖神「…ああ。
だからこそ、お前の祖父は封印したんだろうな。
そして力尽きたお前に、ヴォルフが自ら選んで力を送った。
それによって、今まで生き永らえることとなった。
その分散を押さえることで…」
恵土「嘘…だろ…?
今更、過ぎるだろ。
人間じゃなくて、始祖神でしたなんて…
…娘、か。
でもさ…
過ごした時は、決して変わらない。
皆が知ったら、今更過ぎるって言われそうだな。
っていうより、絶対に態度変えないか^^
うん、やっぱり答えは最初から決まってるわ(微笑」
始祖神「ほお。ならばどうする?」
恵土「少し前までの私なら…
きっと、皆が幸せになるのなら
何にでもなってやるって感じで、前者を選んでたと思う。
でもさ…今は、もう違うんだ。
生きるよ、皆と一緒に(微笑」
始祖神「微笑)…そうか。では」
恵土「ああ。後者だ(にや)
もし前者を選ぶとして
そんな不確かなものなんて、信頼出来るかよ。
皆は、自分の手で護る!
そして…皆との未来を、この手で掴み取る!(ぐっ!)
二度と、見失わないって決めたんだ。
父上と母上に会って話してからさ。
だから…
今更過ぎるんだよ、始祖神だとかは。
そんなもんあってもなくても
それごとひっくるめて『私』って存在で
皆が生きて欲しいって望んでくれた『恵土』で
どこまで行こうが
私は、皆と共に今まで生きてきた『人間』だ!(微笑」