第34章 未来の分岐点
闇の空間の中
星空のように白い光の粒が瞬く空間で、二人は向き合っていた。
恵土「一つの問い?
一体、どういう…
?」
始祖神「…」
そう尋ねる中
黙ったまま人差し指を立てながら目の前に差し出す。
始祖神「まず…
お前には教えないといけないことがある。
お前は、私の娘だ」
恵土「!…え?」
始祖神「この世においての父親と母親は知っているな?
だが、私は3800年ほどに一回だけ『現身』を選ぶことができる。
それに選んだのが、お前だ」
恵土「…」
始祖神「お前は、それ以外でも何度か生まれ変わっている。
最初は、お前の住んでいた村の『一族』の『初代』として」
恵土「!」
驚きを隠せない中、言葉は続く。
始祖神「それから後は
ただの戦国時代での足軽やらなんやらだったらしいが…
お前の『魂』は、私が最初に
己に宿る全てを込めて生み出した、『娘』という存在であり
つまり、始祖神の力に耐えうる存在はお前だけ。
すなわち…
祠にあった魂というのはただの言い伝え。
実際にあったのは、ヴォルフ。
始祖神の力に意思を宿らせたものでしかない。
本当は、お前自身は初代と全く同じ魂で
私が跡継ぎを指名するならば、お前と決まっている」
恵土「私が…始祖神?次期?」
始祖神「頷)ああ。
私を蘇らせなくとも、この世界が存在していたのは
お前という魂が、この世に存在していたからだ。
例え死んでしまったとしても
あの世からでも存在していることによって
玄界(こちら)における全ての世の理を、自動的にあり続けるようにさせていたからな」
恵土「………」
始祖神「さて、説明を終えた所で
お前には二つ、選択肢がある。
一つ目は
始祖神となって、皆が暮らす世界とは違う別の世界から
皆の幸せを願い、私と共に居る道か。
二つ目は
生き返って、始祖神の力を失い
その上で、皆が暮らす世界で共に生きるか。
一つ目だと始祖神の力も失わず
死んだことにはなるが、確実に幸せにすることができる。
だが、二つ目だと始祖神の力を失った上
生きることにはなるが、保証は出来ない。
さあ、どちらを選ぶ?」