第34章 未来の分岐点
これからの道は別々になる。
それでも、その顔には笑みがこぼれていた。
昔、心に抱いていた『今までの夢(三人で笑い合うこと)』から
『新たな夢(全員と共に、腹の底から笑い合うこと)』に向けて…
その道中でも、いつでも…
想ってくれる『心』が、隣に在ることを知ったから…
その想いが、いつまでも変わらないことが解ったから……
恵土「いってきます!(微笑&真剣」
真剣な表情の中
皆との未来へ向けて、笑みを浮かべながら走り出した。
皆の心、生きて欲しいという『願い』と『想い』を
すぐ傍に感じながら前へ、一歩一歩踏みしめるように。
ソフィア「いってらっしゃい(微笑」
紅蓮「…(微笑」
それを微笑みながら言う中
振り返らずに真っ直ぐに走っていく姿を、見守っていた。
ソフィア「幸せだと感じられるようになって、本当によかった;」
微笑みながら涙を流す。
それを黙ったまま
隣で肩に手を添え、支えるように寄り添う紅蓮。
どれだけの過去があって、想いがあったか…
それは、本人にしか解らない。
それでも
この二人は、死んでから見守っていたからこそ解っていた。
理不尽な目に遭い続け
味方が誰一人としていない時間が長すぎたため
否定されるのが当たり前となり
そのような目に遭うこと自体が『常識』となってしまった事。
それ故、相手さえ幸せならと
相手が幸せにいればそれでいいという考えにとらわれ
『自らを大事に想い、
自分の事で泣いたり悲しんだり怒ったりする心』までもが殺され
その心自体を、つい最近まで失ってしまった事を…
共に過ごす人が居たからこそ、蘇った事を…
そういう目に遭って『普通』
自分が存在する事で嫌な思いをさせる事が恐怖になり
いつしか、自分が存在する事で
嫌な思いをさせている、迷惑をかけていると感じ
最終的には人に話しかけること自体が『恐怖』となり
それ故、距離を取り
ずっと一人でい続けたこと自体が『当たり前』だと思っていた。
だからこそ、それが常識だと
周囲の『それ』から大きくずれ切っていた事から
周囲から『精神異常者』『狂っている』と称され
過去の全てを知らないまま、今もなお好き勝手に評され続けている。
その上で幸せだと感じること自体が、非常に異常なのは明白だった。