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鬼神乱舞 【ワールドトリガー】

第34章 未来の分岐点




しかし…

行きなさい、生きなさいの両方の意味を込めた
『いきなさい』の言葉を聴いてから

二人の間を通り過ぎた瞬間
父上と母上と笑い合う、自分の姿が見えた。


それに思わず、立ち止まりながら

昔の想いが、一瞬で凄まじい勢いで込み上げてきた。


一気に気持ちが膨れ上がり、震えだした…


恵土「父上…母上…


私が本気で望んでたのは…

父上と母上の笑顔だった(震)


過ごした時は戻らない。

私が存在した時は、ここにあった。


それに救われたって二人とも言ってくれた。

でも、それは私も同じだったんだ!(涙目)


二人さえ生きていれば、他に何もいらなかった!!;

村の皆、皆大事だ!;


それでも、一番大事だったのが…


大好きだったのが、二人との毎日で…

満面の笑みだったんだ(泣き震え)


それ以外は何もいらなかった!!;

それだけでよかったんだ!!;;


だから!」

そう涙と共に想いを吐露しながら振り返ろうとした直後


紅蓮「振り返るな」

恵土「!」

その言葉と共に、右肩に手の温もりが伝わった


紅蓮「泣いてもいい。

だが、決して振り返るな。


過ごした時は、二度と蘇らない。


だが、その時に抱いた想いは…

願いは、今でも変わらない」

恵土「…」


紅蓮「俺たちは、確かにあの場所にいた。

そして、お前の幸せを一番に願った。


殺された姉の分まで丈夫に、強くたくましく…


優しいお前だ。
その優しさ故に、苦しみ続けてきただろう。

優し過ぎるが故に、誰かが自分のせいで傷付くことを恐れる。


だからこそ…

今でも、自分を責め続けているのは知っている。


だが、逃げるな。


それから目を逸らせば、また再び向き合う時に泣くことになる。

何度でも苦しみ、終わったことに泣きじゃくることにもなる。


戦え。教えたはずだ。

強く心に誓った、『護る』という道を。


自らもまた、護るんだ。

自らの自責からも、周囲からの否定からも全て…


俺が愛した、『お前(恵土)』という存在を殺さないでくれ。


俺が願ったことは、俺のこの想いは

今でも変わってはいない。


お前のことを、誇りに思う」

恵土「!(涙」

驚く中、涙が両目から零れ落ちていく…


話したかった、聴きたかった言葉を胸に遺しながら…

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