第34章 未来の分岐点
風間「俺がなぜボーダーに入ったかは知っているはずだ!
言ってさえくれれば
知ってさえいれば、俺は何でもやった!!
南東部に行こうとするのなら、一般人を朝から避難させる!
戦いの邪魔になるというのなら、片付ける!!
なぜ…
何故、俺に言わなかった!!??」
そう叫ぶ風間さんに、何も言えなかった…
いや、言い返す言葉が無かった
風間「…確かに、誰かが死ぬ未来は避けるべきだ。
だが…
恵土を失えば、ボーダーにとっては手痛い損失だ。
ボーダーにおいて、ここまで来るまでに必要不可欠な人材だった。
今ボーダーにある人材も、トリガーも、技術も、
大切な人を失った今も、共に笑っていられる理由も…
あいつが居なければ、成し得なかったことばかりだ!
兄が死んだ時、あいつは言った。
『元気で、幸せに生きろって言ってる』
そう涙を流しながら言って
第六感で視覚と聴覚を共有して、死んだ兄と話をさせてくれた!
だから俺は救われた!!
だから俺は…っ!」
だぁん!!
怒りのあまり、右手に握っていた『開けてない缶コーヒー』が潰れ
中身が足元に零れ落ち、それごと風間さんは右拳をすぐ横の壁に殴りつけた。
風間「震)だから俺は…
恵土先輩が、こんな風になる未来なんて…(涙目」
初めてだった。
涙を浮かべる風間さんを見るのも、怒り悲しむ姿を見るのも……
風間「ぎり)何で、だっ…;
その恵土先輩とは違って
三雲は今現在、ボーダーに必要不可欠という人材ではない。
今日の記者会見の時には、その発言によって
結果的にボーダーの立場は助けられたそうだが、それだけだ(ぎゅう)
お前にとっては…(震)
恵土先輩が傷付き、死にかける未来など
『最悪の未来』には値しないということか!?(涙)
苦しみ続けたままあの人が死んでも
三雲が死ぬことの方が最悪なのか!!?;
どれだけあの人が苦しみながら!;
今まで人を闇から助け出し続けてきたと思ってる!!;」
拳を叩きつけたまま、震えながらうつむいていた…
その中、缶コーヒーから雫が落ち
と同時にもう一つ、雫が落ちる音が聞こえた…
肩を震わせながら、声まで震わせながら泣いているのが見ずとも明白だった…
そして、風間さんが怒っていた理由が解った気がした……