第34章 未来の分岐点
風間「…なら、率直に問う。
遠くない未来、恵土が死ぬことが解ってて
なぜ生きられるようにしなかった?」
迅「!」
(それに目を見開き、うつむいた)
迅「…
そりゃあ…
恵土の場合、言っても聞かない。
逆に危険な人がいると知れば、何をしようとも護り抜きに行こうと飛び出す。
今、こうして生きる確率は…
0.02%しか、なかった。
そして、最悪の未来でh
風間「三雲が死ぬと言うんだろう?聴いた。
空閑と雨取も見舞いに来ていたからな」
淡々とした低い声が、その場に響いた。
幸い、誰もいなくて助かったとも思った矢先だった
迅「…」
何も言えず、黙っていた俺に
風間「何故、三雲を生かした?」
迅「!…それって、どういう」
問いを零した。
風間「…恵土が動かないのなら、周りを動かせばいい。
どうあっても、恵土が生き残るように…
あの人ならきっと
どんな逆境でもはねのけ、護り抜くことができる。
やろうと思えば、できたはずだ。
だが、それを事前に聴いていたのは三輪だけ。
それよりもお前は、あいつが生き残る方へ進ませた」
迅「…つまり、全員に言って動かしていれば?
それでも、そう未来は単純じゃ」
風間「恵土がもしあぁいう目に遭わない未来であれば
きっと無傷で圧勝し、無理やりでもあいつを護っただろう。
確かに、あいつらの相手は恵土以外務まらない。
そうだとして、話した相手に例の親子を避難させていれば?
南東側にいる人たちをあらかじめ完全に避難させていれば?
おそらくリアムとやらを倒し、また別の未来になっていた。
その上『無傷の恵土』が三雲を治し、他の人も大勢治すだろう。
そうすればきっと、両方共に無事で大丈夫なはずだった。
そう進ませるのも、単純なものではないかもしれない。
だが、お前は無理やりにでもそうしようとはしなかった。
お前にとって…
恵土は、その程度でしかなかったのか?」
迅「!ちがっ!!」
風間「ならなぜ俺にも言わなかった!?」
迅「!」
立ち上がりながら
そう叫ぶ風間さんは、とても辛そうな顔をしていた…
無傷だったかもしれなかった、一つの未来を想って