第33章 時
あの当時、6年と約3か月前の
2009年11月29日に起こった事件…
その三日後に葬式があった。
それから半年間、必死になって探し出したボーダー本部で事実を知り
2010年5月9日、俺は正式に入隊を果たした。
後に聴いた話によると
恵土は2007年11月に玉狛支部に引き抜かれ、転属したらしい。
そして本部を見つけるきっかけとなった少年
名前を太刀川といい…
忍田さんの弟子で、俺と同じく約半年前に助けられたらしい。
ボーダーには、2010年1月10日に入ったらしく
山中で迷っていた時、近界民に襲われた所を恵土に助けられ
ストーカーのように毎日つけまわして本部を見つけ、入ったという;
家族も健在で
憧れていたのに弟子になれないことに不服だったらしく
今でもぶうぶう言っている;(溜息)
(不服を唇を尖らせながら言う太刀川に対し
隣で『やれやれ、またか』と溜息をつきながら黙って聞く風間)
それから後、恵土先輩に庇われ
また、何も出来なかった…
(450~451ページ参照)
それでも、責められることはなかった…
そして、強くなろうと必死に努力するようになった…
誰にも負けないぐらい、今度こそは護り抜けるように……
そのはずだった…
恵土先輩のことを罵倒され、怒りに身を任せた時も…
違う隊に誘われるがままに入っても
悪口を言われた時にキレてやめた時も…
恵土先輩のように
正しく、本当の意味で強い背に憧れたからだった…
太刀川も同じだった。
そして『一緒に隊を組むか?』とも言われたが
『冗談だろ』という言葉で一蹴した。
だが、いきなり腕を首にまわして組むや否や叫んだ。
太刀川「俺たちは恵土先輩大好きだもんな!^^
でも、結婚するのは俺だぞ?」
風間「気の早い奴だな(溜息)
まだ結婚まで3年もあるだろ」
責めなかった理由を聴くと
太刀川「恵土先輩が、それを望まないから。
それに、それをやったら
きっと、誰よりも怒るだろ?^^」
らしい言葉を聴いた。
それから後、田中隊として隊を組んだ。
表向きの理由は…強さを求め過ぎたが故。
裏では、恵土先輩を侮辱する奴を許せないが故。
その両方があったからこそ、隊を形作ることとなった…