第33章 時
玉狛支部にいたおかげで
俺は、前よりも自然と笑えるようにもなった…
微笑むこともできるようになっていた…
普段は仏頂面で、周りにもそう思われがちだが
玉狛支部に居る時は…
あの人がいる時は、自然と笑えることばかりしてくる…
自然体で、ありのままでぶつかってこられて…
安心して、自然体をぶつけることができる……
そういう人だから…
そんな人がいる玉狛だから、ここで良かったと…
心から、そう思った…
それと同時に、生きて帰ることの大切さをより深く理解した…
人として生きる上で、大切なこともまた同様に……
だから俺は…
あの人に、幸せになって欲しいと思っている……
だが…
もう、今は……
レイジ「…(ぷいっ」
(その中、小南の右肩に左手を置いていたが
恵土とそれにしがみつく小南から、顔を背けた)
レイジ「震)…馬鹿野郎がっ」
気付けば声が震えていた…
そして、すぐ近くで何かが落ちる音がした…
ぽとっ
涙だと理解したのは、零れ落ちていく後だった…
これから戦場だと、頭では理解している…
なのに、とめどなく溢れ出ては止まらない…
ずっと…続くと思っていた。
(真っ直ぐに向けられた、恵土の満面の笑みが浮かぶ)
レイジ「ぎりっ)…」
(涙が頬を伝って落ちていく…
歯切りししながら、とても辛そうな顔をして…)
ずっと、あんな…
ふざけながらも、笑い合っていられるような…
心が安らぐ、唯一の居場所さえも…
また、失くしてしまった…
その喪失感で、いっぱいになった心は…
次々に流れ出る涙を、止めさせてはくれなかった……
過ごした時も、重ね合い続けてきた想いも
反発していた時に、ぶつけ合い続けていた気持ちも…
本部で住み込みで働けるように根回ししてもらったり…
あんなに与えられていながら、何も返せず……
それでいながら、指摘すると
例の言葉を、平然と笑いながら言ってくれた…
『お前が生きて、幸せになって笑えていれば
それが何よりの、一番の恩返しだ^^』と……