第33章 時
恵土「人の感情ってもんは単純なようで、すっごく複雑だ。
根底で、何が渦巻いてるかなんてわからない…」
それは、昔に聴かされた言葉だった…
今では凄く、その意味が解る…
自らを殺さないと生きられない世界…
誰一人として味方のいない中、両親に悟られないよう頑張っり続けていたのも見えた…
だけど…
今では、感情がよみがえりつつある…
そして…
それにつれて、悪夢を見た時に自らを責める度合いが上がって
苦しみあがいては、悲鳴をあげ続けている…
入院中、急に叫び出した時はどうしたのかと思った…
だけど、三輪先輩が抱きしめて話していれば治った…
とっても臭いセリフばかりだったけれど…
小さい頃から傍に居て、助けてばかりだったなら解らなくもない。
『俺が二度と、そんな思いをさせない!』
『俺は、お前を護るために生まれてきたんだ!』
『いつだって付き合う。遠慮するな。
お前だって、ずっとそうし続けてきただろうが!
だから…泣くな。
お前のそんな顔は、見たくない(涙目&苦しそうな顔』
恵土先輩が苦しんだことに苦しんで
涙を浮かべる姿は印象的だった…
そして…
風間さんが、精神科医を目指していることも……
レイジさんと
恵土先輩が入院した部屋についてた『会議室』で話してるのを、たまたま聞いた。
風間「あの当時、庇われて傷を負った。
俺は恵土先輩に、何一つとして恩返しさえも出来ていない。
そして、今までずっと支え続けてくれていたこともまた…
だから…少しでもいいから、力になりたい。
あれほど壊れた精神を、そうされる前のありのままに戻してやりたい。
傷を負った時には、すぐに治せるよう力になりたいと思った」
レイジ「…そうか。
だが、恵土ならきっとこう言うだろうな(微笑)
『お前が生きて、幸せになって笑えていれば
それが何よりの、一番の恩返しだ^^』とな(ずず」
目を瞑って微笑みながら酒を飲む中
月明かりが綺麗に、部屋の中を照らしていた…
風間「ふっ。違いない」
それに風間さんもまた、目を瞑って微笑みながら酒を飲み始めた。
レイジ「今夜ぐらいは飲み明かそうか(微笑」
風間「いいですよ(微笑」
あの笑顔を、幸せを護り抜きたい。
それは、共通しているのだと解った時だった。