第33章 時
菊地原「恵土先輩…
僕は、あんたに出会えて…
本当に嬉しかったんですよ?
あんな風にぶつかり合って
ヘッドロックされても笑ってられるような人なんて
今まで生きてきた中で、あんただけなんだから…(微笑」
(1024ページ参照)
微笑みかけながらも、涙は止まらない…
菊地原「でも…
それで本人が何とも思ってなくても…
少なくとも、その本人に助けられた人にとっては…
とても辛いっ……(ぽとっ)
本当に、辛い…(涙」
ぽたぽたっ
零れ落ちる涙、撫でた時から頭に置かれたままの左手…
辛くて辛くて…どうしようもなくって…
気付けば、表情を歪めながら泣いていた……
菊地原「なんだよ、これ…っ;
何で…
止まらないんだっ…;;」
明日さえ見えなかった…
希望なんて、持たなくて当たり前だった……
それを変えてくれたのが、恵土先輩だった…
それでも、その本人が苦しんでいるのを見ると…
なぜか、たまらなく辛くなってしまった…
とても辛くて、苦しくて…
痛いんだ、心が…
締め付けられるみたいに、苦しみばかりが付きまとってくる…
これだから、人付き合いなんて苦手なんだ…
嫌な思いをさせられるのも、苦しい目に遭わせられるのも
人しかいないから…
それでも、救ってくれたのもまた人で…
それが、恵土先輩だった…
昔に相談した時だって……
恵土「ん?人付き合いがしんどい?」
菊地原「ええ。解るでしょ?
こういうサイドエフェクトもってると、色々と差別されるんですよ」
恵土「あ~。覚えがある。
人と少し違うだとかで、色々とな。
私の場合、20歳の時に解ったんだがアスペルガーらしいし。
子供にとってはなおさらだったんだろうな。内気で我慢してばっかだったし」
菊地原「内気?…
すみません。今の姿からじゃ全く想像つかない」
恵土「化け物からの変身シーンみたいに言うな;
秀次も内気だったりで、幼少時に差別とかいじめられてたからなあ。
そういう時には、いいおまじないがあるぞ!^^」
菊地原「どうせろくでもないもののくせに(じとー」
ソファーに座ったまま、じとーっとみていると
腕組みしながら笑って、胸を張って言い出した。