第33章 時
『!?』
「え」
「窓からか!?」
迅「よし。敵の姿は見た)…」
周囲が驚き、あっけに取られている中
迅だけは、敵を見据えていた。
本来ならば、オートで行われるはずだった
『刺さる直前に自動で質を読み切り
体内を通り過ぎる際には、トリオン体からエネルギー体へと変換
そうすることで、生身への影響を無効化。
それによって、動かすことが不可能になる。
と同時に、刺さったように見させたまま
相手が攻撃しようとした直後に、一気に吸収する』といった現象は
始祖神の力が足りず、実現されずにいた。(342ページ参照)
その次の瞬間
影浦がスコーピオンを鞭のようにしならせ、敵を斬ろうとしたが
それよりも早く、敵は動いた。
ばりぃん!!(拳で窓を叩き割り)
がしっ!!(首に腕を回す)
『!!』
その敵は窓を叩き割り、気を失った恵土の首に腕を回し
恵土から見て後ろの窓へ引きずり込んで、共に落ちていった。
影浦の攻撃を、ギリギリかつすれすれでかわしながら…
出水「おいおい;」
陽介「15階だぞ、ここ!;」
即座に下を見ようと窓へ駆けつけるも、消えていた…
太刀川「おい迅!何で助けようt
迅「助けていたら…
おそらく、爆破されていた。
狙いは、あいつの中の『始祖神の力』とやらだ。
あの大規模侵攻で、神の力が露見された。
と同時に、どんな傷でも生きてさえいれば治せると判明してしまった。
その力を狙う奴等が、新たに表れても不思議じゃない。
実際
入院中であっても軍人にも狙われたし、襲われただろ?
つまりを言う所…
相手は、国連にも入っていない上に
治療が沢山必要となる紛争地域の軍人だった。
といっても、目立たないように行動しているだろうが…
治すことができないものでさえも、生きてさえいれば
一瞬で治す力を有する者ほど、狙われる者はないと思う。
とりあえず山の裏だったな。
そこに行かないと何も進まない」
そして
左肩に置かれた太刀川の右手をすり抜け
洋風の大部屋から去って行こうとする迅だったが
次に太刀川が呟いた言葉に、歩みを止めた。