第32章 奇跡
秀次「…
『それまで、村長に対しての差別の印象はあった。
始祖神の力をその身に宿していたからこそ…
それを宿している人特有に、何かしら違いはあった。
一つでも悪い部分があれば、それを誇張して言われ
差別するように、悪い存在だと言わしめるようになっていた。
そう評され続け、陰で言われていることは
おそらく村長の一族は全て知っているだろう。
解った上で、その者たちの幸せを望む。
そういうものだからこそ、目立った差別はしなかった。
だが…
近頃、始祖神が土地からいなくなったが故か
傷付けたり殺すのをダメというものから外れつつある。
始祖神を浄化に戻すために
『始祖神の力』のみを使い切った137代目
始祖神が復活した後、事故で死んだ136代目は別として
138代目は現在、差別・偏見・迫害の真っただ中にいる。
そしてこれからも続くことになる気がした。
いくら殺しても傷付けても
自然と治り続ける不気味な存在だから。
いい所も理解している。
それでも抑えきれない。
長年にわたって、浄化されてきたが故か
今では、そうするのが当たり前となってしまった。
今、本人が読んでいるかは知らない。
だが、どうあっても抑えることができない。
過ごした時はある。護ってくれたのも解っている。
殺されても傷付けられても笑って許し、逆に愛する人だということも解っている…
大事に想うに値する人格者だというのも、頭では理解している。
それでも、にわかには信じられないが
村人のほぼ全員が、この衝動が止められない。
それが、血に流れる力由縁の呪いだと思い
ここに記すこととした。
本当に、すまない』」
太刀川「済まないで済むか!!
おかげで精神がぶっ壊れてるってのに!(ぷんぷん」
恵土「まあまあ」
風間「太刀川」
太刀川「ん?」
風間「言葉の使い方が違う。
『おかげで』じゃなくて『せいで』だ」
小南「でも、それを受けた本人は怒ってないのよね;」
恵土「一応サイドエフェクトで読めてたから^^;(苦笑」
怒りをあらわに憤慨する太刀川に対し
なだめようとする恵土と風間、思わず呟く小南だった。
秀次「問題は、ここから先に書かれてある内容だ。
探していたものは、136代目の予言にあった」