第32章 奇跡
恵土「透過させた方が物質の抵抗を受けて消耗しなくて済む。
そして、物質を伝うよりかは内部を移動した方が見えづらい上に感知しにくい。
その上、物質化するのは一部だけでも事足りる。
物質化させたまま、無理やり物質の中を進ませれば
物質からの抵抗&急激な角度変換、
それを無理やり維持しながら伸ばし続ける場合
トリオンをさらに継ぎ込み続けなければいけない。
だが、トリガー全部に共通して言えるんだが
起動時に使用した分のトリオンしか利用できないんだ。
起動中に、さらに付け足すなんてことはできない」
そう言いながら飲み物をすする。
菊地原「へえ。
じゃあ新たに起動した時に
トリオン全部つぎ込めばどこまで行けますか?」
恵土「私以外にできてない時点で気付こうよ;
昔に計算してみたけれど
目と鼻の先までしか不可能な上、悪くて途中で壊れる。
たとえ、最も細身で小さな刃で
どんなにトリオン能力が優れていたとしても
直線距離で10mが限度だ。
それ以上の距離は、自主的に壊れる」
その言葉に、ビデオを見ていた人たちは頷いていた。
加古「頷)確かに。
私が解説したB級ランク戦(ラウンド4)で
空閑くんが放った、伸ばしたスコーピオンも途中で割れたわね」
そしてビデオでは会話が続いていた。
恵土「それなら、直接切り刻んだ方が早いだろう。
それでも、アステロイドなら
外側にシールドさえ纏っていれば、トリオンを放出したことによる消耗は0。
その上、いつでも使用できる。
そのアステロイドをバイパーへ切り替えながら融合させて
ナイフ形のまま、先っちょから旋空として出すことも可能だしな。
予め戻ってくるように、トリオンの弾道を設定すればOK」
菊地原「流石元エンジニア。理解が凄い」
恵土「全体を物質化させた上で地面を迂回させれば
出てくる地点への制御がより難しくなる。
無理な上、消耗が激しいし
もし持続的に継ぎ込めたとしても、その分は返ってこない上にマイナスになる。
だから私はサイレントブラスターしか使わない」