第32章 奇跡
恵土「スコーピオンについて、どう思ってる?」
風間「?一つのトリガーでは?」
恵土「実際は違う。
アステロイドとシールドを融合させ
シールドとして起動させ、その形状をナイフにしたもの。
それがスコーピオンだ。
アステロイドの貫通という性質を
融合させたことによって持っているからこそ
ナイフ形のシールドが、より切れ味を発揮する結果となった。
そして、体の内部でブランチさせて違う所から生やせるのは
物質化する前で、トリオン体だからこそできることだ。
アステロイドは
分子レベルまで分割できるほど極めれば
エネルギーとして透過するように放出っていうこともできる。
それごとひっくるめて、一つのトリガーとしてあるのが
『スコーピオン』だから、皆そろってできるってこった。
完璧に扱いこなせていれば
透過していたとしても分散をしないように放出=外に出せるんだがな。
でも欠点がある。
それは、シールドと融合させたが故のもんだ。
長くすればするほど表面積が広がる。
つまり、面積がでかければでかいほど
トリオンを一点に集約できず、密度が少なくなってしまうため
もろさが出てしまうんだ。
変形できるのも、分割できる二つだからこそだ」
菊地原「なるほど。
トリガーは二つしか同時に使えませんからね。
どちらかを解いたか、一つのトリガーとして融合させたかのどちらか」
恵土「実際に融合させて出していれば
どちらを強めるかで変わってくるからな。
さっき違うって言ったのは
サイレントブラスターが、そのアステロイドを強めた版で
床を透過させ、床上へ出た瞬間に敵を貫くようにしたものだからだ」
菊地原「でも何で最初から物質化させないんですか?
全体的に物質化させて
一気に地面から生やすと同時にブランチさせてって
同じことができるでしょ?サイレントブラスターと」
歌川「確かにその方が楽そうだな。
アステロイドのようにやると、弾道の設定でも手間がかかるだろうし」
口々に生まれる疑問の中、それは一蹴された