第32章 奇跡
だから…
本当に、幸せだって思った……
この場所に来れてよかったって…
心から、思えたから
それなのに今…
恵土が何度も殺されかけて、死にかけてて……
また、失いかけている。
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そして追憶の中、時は現在へと戻る…
その当時と同じような星空の中、左手を握り締める。
お通夜や葬式の時、いつでも繋いでくれた手を懐かしむように…
その頃、他の人たちはというと…
一部分の人たちは方法を調べており
もう一部分は、恵土の戦闘記録を見ていた…
その中には、風間隊との戦いもあった。
第1ラウンド
風間のスコーピオンでの攻撃を受けてタイマンしている間に
残った二人、歌川と菊地原が後ろから挟み込むように走って移動。
攻撃を受けた直後、二人が攻撃してくると同時に
恵土は即座に足元にグラスホッパーを起動させ、上に跳んで避ける。
その時には同時進行で
さらに、その跳んだ先にグラスホッパーを起動していた。
そして三人の間に入り込めるよう空中で体勢を整え
横薙ぎに回転するように振って攻撃。
咄嗟に三人が後ろに飛びずさって避けるも
恵土「旋空」
『!!』
飛びずさったことで空中にいて動けぬ中
防御を取る間も与えないよう『一瞬』かつ
『構えたナイフの隙間に入るよう』
同じ体勢で、空中から同様に振り
空中のまま旋空を飛ばし、完璧に仕留めていた。
その後
着地時に咄嗟に受け身を取ったため、恵土のみ無傷。
第2ラウンド
風間「三上、菊地原の耳をリンクさせろ」
菊地原「ええ~」
三上『了解です。聴覚情報を共有します』
歌川「頼むぞ。お前のサイドエフェクトが頼りだ」
菊地原「はあ;(溜息)
これ疲れるからやなんだけどなあ(ぶうぶう」
風間「出し惜しみをしていて勝てる相手じゃないのは解っているはずだ。
恵土先輩、使ってもいいですよね?」
恵土「ああ、いいぞ」
菊地原「仕方ない、か」
唇を尖らせて言ってから、髪をくくって耳を出した。