第31章 楽しみ
あの当時、お通夜と葬式を開いてくれた時…
私は、泣かなかった
最期の望みを聴いたから
どれだけ、大事に想ってくれていたかも知っていたから…
そして今…
私のことを想って、隣に居てくれる人がいたから……
泣きそうになっても、ぐっとこらえた。
恵土と繋いだ手を握って、唇を噛み締めながら
そしたら…
終わった後で、手を引っ張ってくれた。
恵土「…帰るぞ」
煙が上がるのを見つめながら帰って、部屋に入れてくれた…
恵土「ここなら、大丈夫だ。
声も外まで響いたりはしない」
扉を閉めてから、ベッドに座らせてくれた。
恵土「泣きたければ泣いてもいい(なでなで)
ありたいように、あっていい。
無理に抑え込めば辛いだけだ。
言っただろ?
居場所なら、ここにある(微笑)
安心して…
我慢せずにぶつけたっていいんだ」
何であんたが苦しそうな顔をしてるのよ。
何で…
そう思っても、涙は止められなかった
本当は、嫌だったから…
あんな形でのお別れなんて、望んでなかったから…
だから私は…
もっと、強くなりたいと思った。
恵土と同じように
二度と、誰も失わないように。
自然と…そう思った。
だから、何度も何度も戦った。
10倍の感覚時間にさせられて、3日間やったりもしたけれど
2日半しかもたなかった(460ページ参照)
途中で気を失ったみたいで…
とても悔しかった。
負けず嫌いなのが、より増したりもした。
それでも…
恵土「小南、お前は凄いぞ?
普通なら2日目なんて行く前に死んでるんだから。
だから自信を持て。な?^^」
そう言いながら頭を撫でて
まだまだ強くなれると、背中を押してくれた…
楽しい想い出も、たくさんできた…
気付けば、死にたいと思っていたはずの心が変わっていた。
『もっと生きたい。
もっともっと、一緒に色んなことをしたい。恵土と一緒に』
そう望むようになっていた。
それから次々に一緒に居たい人が増えていった…
そうして、その優しくて温かい背から学んだ気がした…
どんな『辛さ』も『苦しみ』も
生きていく上で欠かせないものになるって…
その上での『楽しみ』が
本当に、大事なものなのだということを……