第5章 クリスマス
恵土「私は、同じ思いをして苦しむ誰かを作るのを
よしとは思えない。
そういう目に遭ったから、遭わされたからって
それを味あわせていいとは、私には思えない…
そんな問題じゃないんだ…
それらが全て、幸せに繋がるわけじゃない…
だから私は…
少しでも、あいつらが幸せになれるようにありたい。
知らない誰かが相手だとしても
私は、そいつに苦しみを与えていいとは思えない…
たとえそれが、自身を苦しむことに繋がろうとも…
約束したんだ…
護り抜いてみせるって…
誓ったんだ…
その場所で…死んでいった、殺されていった皆に……
だから私は、曲げるわけにはいかない…
今歩いているこの道を
踏み外すわけにはいかない…
一生懸命考えて
そして、自分自身で決めたんだ…
お前も、自分で決めて
この道の上に立っている…
それまでの道のりは、お前じゃなければ
味わうこともなかったものだ…
と同時に
お前じゃなければ、乗り越えられなかった…
お前がお前で居られるために
必要不可欠なものだったのかもしれない…
今の私が、その過去があったからこそあり得たように…
お前もまた、幾多の経験から
数多の時から、今ここに存在している…
それがあるから、お前なんだ。
簡単になり得ているものじゃない。
世界中で、たった一人のお前だから……
だから…
お前のあの考えを、否定する気にはなれなかった…
ごめんな…
逆に、嫌な思いをさせて…苦しませて……」
申し訳なさそうに呟かれる言葉…
数々の想い…それを受けて、どう考えるのか…
それは、人によって変わるもの…