第31章 楽しみ
恵土「一通り理解したか?」
小南「…お父さんと、お母さんは?」
尋ねてこられたけれど、それよりも気になっていた…
薄々、解ってはいた…
恵土「……死んだよ。
と言うよりも、来た時にはもう…」
小南「そう…
やっぱり、お父さんとお母さんはっ…;」
布団を握り締めながら、泣きじゃくっていた…
恵土「…」
そんな中、落ち着くまで恵土は待ってくれた
そっと背中を撫でながら
それに私は抱き着いて
しがみ付くように泣きじゃくっていた…
それを優しく抱き締めながら、ずっと黙って……
私を、受け入れ続けてくれていた…
小南「ぐすっ;ずずっ;」
何分泣いたか、覚えてはいない…
それでも、ずっと優しく受け止め続けてくれていた…
恵土「大丈夫か?」
小南「うん;」
恵土「…話せるか?」
小南「うん;」
二度ほど頷いてから…
恵土「………今から大事なこと話しても大丈夫か?」
小南「大丈夫よ、もう!しつこい!!・・」
おずおずと言う恵土に対し、若干腹が立って叫んだ
恵土「これから住む場所についてだが
お前の親戚の所、行くか?
その場合、記憶処理を受けてもらわないといけないんだが」
小南「え!?悪の組織だったの!?」
恵土「違う違う;
モールモッドとか
そういうのは、いきなり現れて神隠し扱いされている。
極秘事項みたいなもんだ」
小南「それ…って」
恵土「…その事故が起きてから起きた後の記憶まで、真っ白にってだけだ。
今日一日の一部分を失うってだけ。
んーと、宿題やって父親の隣に座って
いつも通りのやり取りで笑い合うって所までは残るぞ」
小南「!!
何で私の記憶を!!??」
恵土「私、向き合えばだいたいは解る。
『第六感』って名付けられた超感覚を持っていて
感情やら記憶やら、向けているものから纏っているものまで感じ取れる。
新しい記憶なら、すぐに読み取ることもな。
それをもとにして開発されたのが、記憶を消去する機械で…
まあ、その能力については
トリオンが強過ぎるあまりに覚醒した『サイドエフェクト』っていうらしいんだが」
小南「忘れちゃうの?
あなたにあったことも…
失う前に、お父さんとお母さんから言われたことも!」