第31章 楽しみ
視界の隅に、いきなり庭に黒い何かが見えた。
私は当時、それがゲートだなんて理解できるわけもなかった…
左側の大きな窓を見ると
何もなくって首をかしげていると、お父さんが尋ねてきた。
小南「?」
父「?どうかしたのか?桐絵」
小南「んっと…
さっk
ぱりぃん!どごぉん!!
話そうとした直後、それを遮るように…
急に、何かが窓ごと家の壁を突き破って入ってきた
ゴキブリのように見えて、そうじゃない
あまりにも大きな形で、目を光らせながら背の刃を展開していた…
あまりの急な出来事に、私は頭が真っ白になっていて…
小南「え…
(何?何なの?」
偶然にも、窓際に近い場所側に座っていた。
そのためか、感じている恐怖も倍になっていた…
左から順に窓、ソファー(私、父)
そのお父さんの後ろに、お母さんがいた状況で…
父「逃げなさい!!」
母「桐絵!早く!!」
そう叫ばれる中、私は震えたまま動けなくて
それを見たお父さんが
お母さんに渡して、玄関から外に出るように言い
お父さんが化け物がこれ以上来られないように
ソファーを化け物に押し込んで…
それでも、それごと切られた
父「ぐっ!」
母「あなた!」
父「俺に構うな!!早く逃げろ!!!」
必死な形相で叫ぶお父さんに
お母さんは、私を抱えて居間の外へ走り出した
鮮明に浮かぶ、血
晴れていて、遠目からでもはっきりと見えた…
口の端から血を流し、ぼたぼたと血を零しながらも
必死になって、守り抜こうとする姿が…
けれど、居間から外に出ることも出来なかった。
その入り口の前に、モールモッドが現れたから…
当時は解ってなかったけれど
恵土によると、モールモッドは二匹同時に入っていて
最初のガラスが割れた音が一匹目
壁を突き破る音が大きかったのは、もう一匹目が裏側から回って入るため。
要するに
一匹が正面から襲い、もう一匹が回んでいたらしい。
挟まれる形になって、その間にお父さんは…
斬られ、足元まで飛ばされ
その時点で絶命していた…
小南「お父さん?…お父さん!」
揺すっても揺すっても返事はなかった…
血だまりが出来る中
涙ながらに揺すって、お父さんと叫ぶしか出来なかった…
信じられない光景に…