第31章 楽しみ
『!!』
太刀川「おい!?」
その行動に、驚きで目を見開きながらも
必死に肩を掴んで尋ねる太刀川だったが…
恵土「っ…ぐッ…
うあっ…あ」
声もまともに出せず、胸を押さえながら
肩で息をし、苦しげな声を上げるばかりだった…
秀次「!熱い?」
那須「それ以前に苦しみ方が尋常じゃない」
肩に手を触れながら驚きと共に呟く秀次と
様子を見ながら
風間「横にさせろ!
楽な体制を取らせるんだ!
太刀川、揺するな!」
太刀川「でもよ!!
そうじゃねえと、どこへ行くつもりなんだよ!!??(涙目)
まともに話せねえまま死なれるなんて嫌だ!!
ごめんだぜ、そんなの!!」
風間「本人が同じことを思っていないと思うな!!」
涙目になりながら
必死に意識を保つようにしようと、悲痛な叫びをあげながら揺する中
風間の言葉に、叫びに動きが止まった…
風間「まずは落ち着け。
今は体を揺するな。
俺たちの知る恵土は、そんなにやわじゃないだろ?」
その言葉に、目を細めながら恵土を見やると…
目を瞑りながら、頬を赤く染め
弱々しく、目を開けようとしていた所だった…
太刀川「…悪い。動揺した」
風間「それはここに居る全員が同じだ」
そんな中、後ろではバックミュージックがかかっていた…
「毛布持って来い!」
「早く敷け!」
切羽詰まったような声で、少しでも楽にさせるために
必死な怒声が響き渡っていた…
そんな中、一つの推測が生まれた…
風間「体が死なせまいとして動悸を起こしているのか?
それとも、今まで力を使った分が動悸として返ってきたのか?
…どちらにせよ
このままでは…本当に死んでしまうのは確かだ」
眉間にしわを寄せながら小さく呟く中
秀次「ヴォルフ、始祖神の所へ行ってくれ」
ヴォルフ『…』
秀次「それ以外、方法がない。
もうこうなったら、一刻の猶予もない!
早く行ってくれ!!」
ヴォルフ『……解った。
私がいない間、恵土を頼む。
白帝を起動させてトリオンを送れば
トリオンの状態異常に対する『自己治癒』が高まり、多少は楽になるはずだ』
その言葉を残した直後に、一瞬で消え
白帝を起動させ、マシにさせるしか出来なかった…