第31章 楽しみ
恵土「みんな楽しんでたけれど…
そっか、逆だったらいやだな。なるほど」
顎に手を当てながら考え込み、今更気付いた;
風間「お願いですから、もう少し自分を大事にして下さい。
あなたが嫌な思いをしたまま
それに気付けず、打ち明けられない方がよほど辛い」
そう言いながら辛そうな顔をし、頭を撫でた…
恵土「…それって、泣いてもいいってこと?」
菊地原「好きなだけ泣けばいいんじゃ?
僕たちにはよくそうしてくれていたでしょ?
少なくとも…
ここには、それを受け止めずに否定して
自分たちの幸福しか考えない、こんな奴等はいませんから。
寧ろ訂正の機会を与えられなかったんでしょ?
そういう環境の真っただ中だったから」
恵土「なるほど。
まあ、お前たちのおかげで普通って生活を知れたし
常識が根本から覆ってよかったし、本当に助かったよ^^」
ぎゅうっ
そう言いながら秀次を抱き返した
未だに話さず、離すこともなく
突き放そうともせずに、受け入れようとするように…
小さい時、『大好きだ』と言い
離すまいとしていた時のように…
それと同様に、受け止め続けてくれる人達ばかりだった……
自分を大事に想って、自分が悪く言われていた時に怒ってくれた…
恵土「だから…(ぽろっ」
皆を見ている中、温かさを感じた…
その中、自然と涙が勝手に溢れ出て
零れ落ちた……
恵土「あれ?…涙?;
何で、勝手にっ…;
…何で、泣いてっ;
なん…ッ(涙」
拭おうとしても拭おうとしても、止まらない
終いには、声が詰まった…
恵土「本当は泣きたかった…
死にたかった…いっそのことなら、殺して欲しかった…
それでも、それよりッ…
悪いことをした人にさせてしまったのが、一番苦しいっ;;」
ぽんぽん
そんな中、秀次が優しく
あやすように肩を軽く叩きながら、頭をそっと撫でる
一つの温もりが語っていた
その時に抱いていて、泣きたかった感情も…
止められなかったことに罪悪感を感じ、自身をも殺そうとしていたことも
当時に置いてけぼりにされた、殺された『哀しみから苦しみ』などの感情も…
今抱いている感情をも全て、受け止めると……
(1月11日PM11:13~12日AM3:06更新、1054~1062(9ページ))