第31章 楽しみ
恵土「…」
それに目をそらしながら
秀次「お前は昔から、始祖神の力までには手を染めなかった。
トリオンを通してエネルギーを集約させていき
物質化させる際に、何でもかんでも形を形成させながら作り出していただけで…
始祖神の力である万物創造ではなく、オリジナルのものだった…
だが、最近は始祖神の力を使い過ぎだ…
死んだ後にでも使えるようなもの
掃除だとか何だとかにでも使えるようなトリガーなどを作り出し
空閑のブラックトリガー内にある生身を治したり」
恵土「やっと名前で呼んだね」
秀次「黙れ。変な所で反応しやがって;(溜息)
他にも
死ぬはずだった人たちを助け出すために
元来なら予知夢しか見れないはずなのに、一時的に感じ取れるようにし
一般人全ての負傷者を完治させ
ボーダーのものでも軽症のものを完治させ、重症の奴等を軽傷にまで治し
あまつさえ、周囲のエネルギーを取り込みながら
トリオンが無限に増え続け、利用できるようなモノを作り
近界民に渡して、ここから立ち去らせ…
挙句の果てには…ぎゅ(拳握)
近界民に襲われかけた親子を助けるために傷付き、死にかけた!
その中でありながら、全ての幸せを願いながら
お前の中に残った、始祖神の力を全て使い切るつもりで出し尽くした!!
記憶がなかったとしても…
無意識の内に……(言いながら顔をしかめ、苦しそうな顔をする)
口をきくのも、難しくなるほどに…
…恵土、せめて聞かせてくれ。
トリオンと、始祖神の力は別物なんだろう?」
恵土「!!」
その言葉に、顔をあげながら視線を合わせると
秀次「答えたくないのなら、それでもいい。
だが…
それで、どれだけの人が傷付くかを忘れるな」
恵土「………
知ってた上で、墓まで連れてきたのか?
とことん無粋な奴だな」
秀次「大きなお世話だ。
それに…
お前とはゆかりのある奴等ばかりだ。
少しは楽しめるはずだろう。
…だから、城戸司令も許可したんだろうが」
恵土「…そうだな。
ハッキリ言うと、トリオン量と質は
始祖神の力に全く関係していない。
どれだけトリオンが回復したとしても
始祖神の力までは回復しない。
タイムリミットは…
今日だ」
『!』