第31章 楽しみ
そして我に帰るや否や
菊地原「再三嫌がらせしたのに…
何で祝う気になるんですか?(声震え)
僕の誕生日なんて、聞いたことなかったくせに…(涙」
そういう切り返ししか、出来なかった…
今まで、そういう目にしか遭って来なかったから…
今まで…そんな事なんて、なかったから……
恵土「ああ、聞いてない(微笑)
びっくりさせようと、自分で調べたんだ^^」
菊地原「…
何、それ…
聞いてない」
それに、なおさらにあっけにとられた顔になってたと思う
それでも…
恵土「私さ…
血縁者以外に祝われたことなかったんだよね…
だからかな…
どうしたってほおっておけなかったんだ(苦笑」
そう苦笑交じりに笑う顔は…
小さい時、友達も出来ないで
誕生会で誰も来なくて
そんな時に母親を安心させようと
無理に笑った時の僕の笑顔と被さった…
恵土「嫌がらせされても、どんな目に遭っても…
きくっちーはきくっちーだし、大事な人だからさ^^」
今までかけられなかった言葉…
それが、胸に染み入っていった…
菊地原「余計な…お世話っ…(ぼろぼろ」
両目から涙がとめどなく溢れ出てきた
安堵からか、その温かさからか…
恵土「なでなで)…大丈夫(微笑」
そんな僕の頭を撫でながら、諭すように言ってくれた…
恵土「もしお前から離れていく人たちが出てきても
私は、お前から離れていかない。
どんだけ忙しくて距離を取ることになっても
少なくとも、この日には何があっても駆けつけるし
離れていかないよ^^」
その満面の笑みに、どこか…
あの今までの忌まわしい思い出から…
たくさんの楔(くさび)から、救われた気がしたんだ…
菊地原「…ホント、とんでもないバカっ…;(苦笑」
それに憎まれ口しか叩けなかった…
本当に、嬉しくて…気付けば笑ってた
恵土「おまっ;
それが祝いにきた奴に言うセリフか!?;
誕生日プレゼントもってきたのに!(ぶうぶう」
唇を尖らせながら言う恵土先輩だったけれど…
それで差別して、去っていかないのが解っていたから…
安心して、言うことができた…
菊地原「…ありがとうございます^^」
どんな風に言っても、どんな目に遭わせても
ありのままに受け入れてくれる恵土先輩だから……